Q

Windows Server 2003のDHCP(動的ホスト構成プロトコル)サーバー機能を使って,クライアントPCにIPアドレスを自動的に付与しています。しかし,DHCPサーバーで定義したリース範囲のIPアドレスを,勝手に固定で設定するユーザーがいるため,クライアントがIPアドレスを自動取得できない障害がときどき発生しています。

 DHCPで自動的に付与している範囲のIPアドレスを固定で設定するユーザーには,注意を促す必要がありますが,それとは別に,IPアドレスのバッティングを防ぐ方法はないでしょうか?

A

今回のケースでは,ユーザーが勝手にIPアドレスを固定で設定してしまう問題と,勝手に設定したIPアドレスとDHCPサーバー側が正規に付与するIPアドレスがバッティングする問題の2つがあります。このうち,後者のIPアドレスのバッティング対策には,Windows Server 2003の標準機能を使用することで改善が可能です。

 Windows Server 2003のDHCPサーバーには,クライアントの要求に応じて自動的に付与するIPアドレスに対して,あらかじめpingを実行し,そのIPアドレスを保持したコンピュータがほかに存在しないことを事前に確認する仕組みがあります。この機能により,スクリプトやツールを使用しなくても,DHCPでの付与によるIPアドレスのバッティングを効率的に防げます。

 しかし,この機能はデフォルトではping試行回数が「0」に設定されており,使用されていません。そこでこれを変更してください。試行回数を多く設定しすぎるとネットワークやサーバーに負荷がかかりますので,1回にするのが望ましいでしょう。


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図1●DHCPサーバーにおけるping実行回数の設定
 pingの試行回数は,DHCPサーバー機能の管理ツールを使って以下の手順で設定します(図1)。

(1)DHCPサーバー機能が稼働するコンピュータでスタート・メニューの[管理ツール]にある[DHCP]を起動します。
(2)現れた画面で,左ペインの[<DHCPサーバー名>]のアイコンを右クリックして[プロパティ]を開きます。
(3)DHCPサーバーのプロパティ画面が表示されたら,[詳細設定]のタブをクリックし,一番上の段の[検出の試行回数]を変更します。

 [検出の試行回数]の値を「1」にした場合,サーバーはIPアドレスを付与する前にpingを1回打ち,そのIPアドレスを使用している機器がないことを確認します。pingの応答で既に使用している機器があることが分かれば,別のIPアドレスを付与して障害を防ぎます。


NTTデータ先端技術 ソリューション部 コンサルタント