私は電子メールをたくさん(月に2万5000通ほど)受け取っている。別に驚くことじゃないがそのメッセージの大多数はスパムだ。Windows IT Proでは,私の電子メール・アドレスを何年も公開してきたから,私はまん延しているほとんどすべてのスパム・メッセージと電子メール・ウイルスを受け取っている。今回はそんな私のスパム奮闘記をお話しよう。

スパム・フィルタを2段階で適用
 そんなわけで私は自分のメインの電子メール・クライアント用コンピュータにはかなり厳しいフィルタリング・システムを載せている。使っているのは2種類あって,米Microsoftの「Office Outlook 2003」の「迷惑メール・フィルタ」と,サード・パーティのメール・フィルタリング・ツールである。私は届いたメールを,様々なフォルダに振り分けるルールに設定して使っている。

 長い間,私はそのシステムを微調整してきた。言語道断なジャンク・メールが入っている「迷惑メール」フォルダは,もはやチェックをしていない。そして,私は「My Spam」というフォルダを毎日チェックしている。このフォルダには,様々なサービスやマーケティング担当者からの役立つ情報と,悪賢いスパムとがほぼ半分ずつ入っている。どの日でも,ここに必要なメールが25通以上あることはめったにない。さらに私の受信トレイ(Inbox)には,ふさわしくないものはほとんど何も含まないのだ。

ある日900通のジャンク・メールが…
 ところが,先日私が受信トレイをチェックすると,900通以上のジャンク・メールがフィルタでキャッチされずに届いたことがあった。そのときの私の驚きようを想像してもらえるだろうか。

 もみ殻から小麦をより分けるのに1時間ほどかけたあとに,ようやく私は自分が慎重に設定したジャンク・メールの防御機能になぜ障害が起きたのかを調べることに集中できるようになった。

 私は自分の電子メールのルールを調べて,何も問題がないことを確認したので,サード・パーティのスパム・フィルタリング・アプリケーションをチェックした。私は最新版を走らせており,スパム送信者として認識されるアカウントから自分のアカウントにメールを送ってみたら,そのアプリケーションはちゃんとそのメッセージを処理してくれた。

 これでOutlookの迷惑メール・フィルタだけが容疑者として残された。Office Update Webサイトをさっとチェックして,自分が適用可能なパッチをすべて適用して,Outlookの最新版を走らせていたことを確認した。こうなると,もっと微妙な問題を探さないといけない破目になっってきた。

 その答えは,私の電子メールのOutlookフォルダ・ビューが教えてくれた。私の迷惑メール・フォルダには6万5536通のメッセージが入っていたのだ。時々私は手作業で迷惑メール・フォルダを空っぽにする前に何か大事なものを除外していないかどうかを確認するために,そのフォルダ内のメッセージのヘッダーをスキャンすることがある。私が前に迷惑メール・フォルダを掃除してから10週間ほどが過ぎており,フォルダ内にあるメッセージ数がきっかり6万5536通(2の16乗)だったことから,私は原因を見つけたと確信した。

 迷惑メール・フォルダを空っぽにすると,やっぱり。ジャンク・フィルタが再び動きだした。ではなぜ私はそのメッセージ数が問題だと分かったのだろうか? 6万5536という数字は,1024×64であり,64Kである。Outlookでジャンク・フィルタ機能のコードを書いた連中はみんな迷惑メール・フォルダが6万5536通以上のジャンク・メッセージをためることなどないと決め込んだのだ。

 そのおかげで,フォルダの中の電子メール数がひとたびその数字に達すると,フィルタは動作しなくなったのだ。インターネットを介して送られているジャンク・メールの数と,さらにフォルダ内に多数のメッセージが入ることを許すような開発要件の設定という点の両方から考えると,6万5536通というジャンク・メッセージ数の制限でフィルタリング・サービスが安全でなくなるのは残念なことだ。この問題は電子メールの受信トレイで一般に心配しなければいけないことではなさそうだ。