米Microsoftは2005年10月,「Exchange Server 2003 Service Pack 2(SP2)」を出荷した(既報)。ユーザーが長い間待ち望んでいたものだ。私が常々嫌っている用語だが「Feature Pack」と呼ぶほうがふさわしいかもしれない。その理由は,バグ・フィックスのほかに,いくつかの新機能を含むからだ。

 もちろん,私はバグ・フィックスを軽視しているのではない。多くのホットフィックスを1つに集めてた上に,テストされたパッケージの形で提供するサービス・パックは常に価値があるものだ。

魅力あるサービス・パック
 このSP2はたくさんの特徴を備えており,私はそれらのすべてについて数カ月間は価値あるコラムを書けると思う。事実,多分そうするだろう。でもいくつかの機能については,ここで特別に触れておこう。

 SP2最大のニュースは,Microsoftの新しいDirect Push電子メール技術のサポートをアナウンスしたことだった。これに関しては,近いうちに別の記事としてまとめる。というのは,私が知る限りSP2の拡張されたモビリティ機能を利用するには,「Windows Mobile 5.0 Messaging and Security Feature Pack(MSFP)」を搭載したデバイスが必要なのだが,まだ購入できないでいるからだ。この制約は,私のような初期導入の利用者には痛いところだが,Microsoftにとっては,MSFPが入手できるようになる前に,SP2を導入させておくのは意味があることだ。さらに付け加えると,無線機器へのMSFPの導入は携帯電話のキャリア次第となる。

ついにSender IDをサポート
 もっと面白いのは,SP2のメッセージ・ルールにおけるいくつかの変更である。私は以前,SP2が「Sender ID」をサポートすると書いたことがあり,Microsoftの実装を見て喜ばしく思っている(該当サイト)。

 第1に,私はSender IDがインターネット・メールを死なせることになると心配するすべての人々に再度保証しよう。「安心しなさい」。デフォルトでは,Sender IDはSender IDチェックに通らないメッセージをマークするが,このマーク付けは「Intelligent Message Filter(IMF)」への入力として使われるだけだ。

 あなたはExchangeに対して,Sender IDチェックに通らないメッセージを削除するよう強制できる。しかし,Sender IDレコードにないドメインからのメッセージや,送信ドメインのSender IDレコードが解析できないメッセージは,常にタグ付けされて配信用に送られる。Sender IDの情報がExchangeにメッセージを拒否させることが起こるのは,次の2つの条件がそろった場合だけだ。

●あなたがSender IDの拒否機能を[有効]にしている。
●送信者のドメインが偽者されている。あるいは送信者がSender IDレコードの中にリストされていないという理由でSender IDチェックが失敗する。

フィルタのカスタマイズが可能に
 別の変更は,IMFがSP2の一部になっていることだ。別途ダウンロードしたり,設定したりする必要はない。ただし,SP2のインストール前にオリジナルのIMFをアンインストールする必要があり,これは少し手間がかかる。新しいIMFは,自動更新機構を備えている。これはIMFのフィルタリング能力の基になっているSmartScreenフィルタにとって,データ・セット用の更新配布を高速化するものだ。

 さらにIMFは,あなたがカスタマイズ可能な単語の重み付けリストを持つ。そのリストに言葉を追加することで,該当するメッセージがスパムである可能性が高いことをIMFに教えられる。これは歓迎すべき改良だ。なぜなら,IMFに対するよくある不満は,ユーザーがビルトインのコーパスをカスタマイズしたフィルタリング・ルールでオーバーライドできない――というものだからである。

まだまだある有用な新機能
 SP2はもっと細かな機能を数多く備えている。私のお気に入りは,パブリック・フォルダの削除を記録するイベントを生成するコードである。誰が大事なパブリック・フォルダを消したのかを調べるのに悩んだ経験がある人は,これで容易に見つけられるようになる。

 最後に紹介する小さな機能が恐らくSP2のリリースの中で一番議論を呼ぶだろう。「Exchange Server 2003 Standard Edition」では,メールボックス・データベースの大きさが以前の16Gバイトから最大75Gバイトへと拡張されたのだ。この変更は,まだStandard Editionを使っているサイトでは有用なものだ。