Windows Updateができない原因
これらは特別なファイルやフォルダなので暗号化するユーザーは少ないだろう。注意したいのは,Documents and Settingsフォルダ全体を暗号化してしまうことだ。これだけでWindows Update(Microsoft Updateを含む)ができなくなってしまう。
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図8●Windows Updateが失敗している画面
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Documents and Settingsフォルダにあるのは,マシンにログオンする各ユーザーの情報を格納するフォルダだけではない。全ユーザー共通のプロファイルを保存する「C:\Documents and Settings\All Users」(以下All Users)や,新規に作成するユーザーの標準のプロファイルを保存する「C:\Documents and Settings\Default User」(以下Default User)といった共通のフォルダもある。
ユーザーがDocuments and Settingsフォルダ全体を暗号化すると,これら共通フォルダも特定のユーザーの権限によって暗号化され,ほかのユーザーやシステムが利用できなくなる。
Windows XP SP2以降のWindows Updateでは,修正パッチのダウンロードやインストールは「Windows Update Agent」が担当している。これはシステム権限で動作しているほか,Windows Update実行時にAll Usersの下層にあるフォルダにアップデートに関する情報を書き込んでいる。
Documents and Settingsフォルダを特定のユーザーが暗号化していると,Systemアカウントで動作するWindows Update AgentはAll Usersフォルダにファイルを書き込めない。そのため,Windows Updateはエラーになるのだ。
アプリのインストールも失敗
暗号化の場所に関する前述のルールを守っていても,「アプリケーションがインストールできない」というトラブルが発生することがある。
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図9●アプリケーションのインストールに失敗した画面
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msiファイルをダブル・クリックすると,Windowsインストーラというシステム・コンポーネントが起動する。その後のファイルの展開やコピーなどは,Windowsインストーラが実行する仕組みだ。しかしWindowsインストーラはシステム権限で動く。msiファイルが暗号化されていると,Windowsインストーラはmsiファイルの中身にアクセスできない。そのため,アプリケーションのインストールが途中で失敗してしまうわけだ。
ユーザー・プロファイル・フォルダを暗号化している場合,気づかずにmsiファイルを暗号化してしまうことがあることにも注意が必要だ。インターネットからダウンロードしたmsiファイルを,デスクトップに保存する場合がそうだ。ユーザー・プロファイル・フォルダには,ユーザーのデスクトップが含まれる。暗号化したつもりはなくても,ダウンロードしたmsiファイルは自動的に暗号化される。インターネットからmsi形式のファイルをダウンロードする場合は,暗号化されていないフォルダに意識して保存するか,インストールを実行する前に暗号化を解除する必要がある。