■Windows XPには「管理共有」という仕組みがあり,すべてのドライブは必ずネットワークに公開されている——。プロにとっては常識だが,一般ユーザーの多くは管理共有の存在や仕組みを知らないだろう。これに限らずWindows XPには,知らないと非常に怖い思いをする一方で,その道のプロしか知らないような「常識」が数多く存在する。
■悪意のあるハッカーからの攻撃や,一般ユーザーのちょっとした設定のミスからWindows XPを守るためにはどうすればいいだろうか。そんなときに役立つプロの常識9例を4回分の集中連載で紹介しよう。



 その道のプロであれば知ってて当たり前の「常識」も,プロ以外の一般の人にとっては「思ってもみなかったこと」であることが多い。

 例えば飲食業のプロは「モヤシ」を洗わない。モヤシは,高温多湿の薄暗い場所で育つために菌が繁殖しやすい。1g当たり100万~1000万個の細菌が存在するともいわれている。ザルやシンクでモヤシを洗うと,むしろザルやシンクを汚してしまう。ほかの野菜や食器に汚染を広げてしまう危険性があるので,プロはモヤシを洗わずに加熱調理する。

 モヤシを洗わないという飲食業のプロの常識に,驚く読者も多いのではないだろうか。飲食業のプロは食中毒対策に細心の注意を払っている。その結果,プロの常識は一般の人と違うのだ。

Windowsにもプロの常識

 Windowsにも,知らないと痛い目に遭うプロの常識がある。

 しかし,プロの常識はあまり公にされない傾向がある。特にセキュリティにかかわるハッカーやクラッカにとっての「Windows XPを攻撃するための常識」は,多くのユーザーに知られることがないと感じる。

 例えば,インターネットで配布されているフリーソフトを使えば,Internet ExplorerやOutlook Expressに記憶させたユーザー名とパスワードを,簡単にテキスト・ファイルに保存できる。このことを,どれほどのユーザーが知っているだろうか。

プロの常識を知らないのは危険

 とはいえ,ハッカーやクラッカの常識が一般のユーザーにとって常識でない状況は危険である。ハッカーやクラッカの攻撃に気づかない恐れがあるからだ。

 問題が起きるのはセキュリティ分野だけとは限らない。暗号化ファイル・システム(EFS)は使い方を誤ると,システムが起動しなくなったりWindows Updateができなくなったりする。「常識」を知らないと,良かれと思ってしたことで思わぬしっぺ返しを受けることさえある。

 本記事では,このようなプロにとっての「常識」を9例紹介する。Windowsを利用するユーザーなら,ぜひ知っておいてほしい。

今回の集中連載(第1~4回)で取り上げる「プロの常識」は次の通り。
 ●スパイウエアは管理者権限がなくても忍び込む
 ●IEやOEに記憶したパスワードは簡単に取り出せる
 ●暗号化ファイル・システムを使うとWindows Updateができなくなる
 ●NTFSアクセス権は情報漏えい防止の役に立たない
 ●無効に見えるGuestアカウントが実際には有効になっている
 ●「エラー報告機能」で秘密情報が漏れ出すことがある
 ●制限ユーザーでログオンしていてもシステム権限が乗っ取られることがある
 ●無いように見えてもAdministratorアカウントは存在する
 ●必ずドライブは丸ごとネットワークに公開されている