米Winterが最近,「2005 Winter TopTen Program」入賞者のリストを発表した(該当サイト)。この調査は,世界で最大かつ頻繁に使われているデータベースに関するもので,現在の技術で実現できる限界にどんな製品が挑戦しているかが分かる。

 いわば超大規模データベース(VLDB)界の紳士録と言えるものだ。私は,VLDBの世界でSQL Serverが大きく成長し,さらに普及しているのを見てうれしく思った。

実稼働システムによるDBのリスト
 この入賞者リストは,TPCとは異なりベンチマーク・テストではない。だが,その結果を突き詰めると面白いものだ。Winterで取り上げているシステムは,実際の現場で使われているものである。そのためいくつかの点で,データベースの世界で何ができるかを,TPCベンチマークよりも明確に説明してくれる。

 2005年の調査結果は,SQL ServerがVLDBの分野で市場の一角を占めつつあることを示した。といってもSQL Serverがデータ・ウエアハウジングの世界の中で,大規模システム最高の地位に付いたわけではない。Microsoft製品で構築された最大のデータ・ウエアハウジング・システムは19.5Tバイトというサイズであり,これは米YahooがOracleをバックエンドに使って稼働している100Tバイトの巨大システムに比べれば約5分の1しかない。だが,19.5Tバイトというのは馬鹿にしたものではないし,2003年にエントリした最大のSQL Serverシステムに比べれば実に11倍である。

 SQL Serverは,OLTP(オンライン・トランザクション処理)分野でも最上位の地位は得られなかった。だが,8Tバイトのシステムで6番目に入った。これはIBM DB2で稼働している最大のOLTPシステムの約3分の1の規模である。それでもSQL Serverは第3位にリストされ,Winterの様々なトップ10カテゴリの中で,23システムがエントリされた。2003年と比較して5倍も増えている。そしてMicrosoftはWindowsプラットフォーム上で稼働しているシステムの負荷の大きさでは,OLTPとデータ・ウエアハウジングの双方で圧勝した。過去においては他のベンダーの製品がMicrosoft製の土俵の上で同社を負かしており,このことは幾分恥ずかしいことであった。

実力を認められたWindowsプラットフォーム
 SQL Serverが業界の崇敬を受け,最大の企業向けシステムの信頼できるプラットフォームとして受け入れられるまでには,長い年月を要した。SQL ServerはVLDBのユーザーにとって,最有力となる製品ではまだない。だが,Winterのトップ10カテゴリのすべてでその強さを示したことから,あなたの組織で計画しているシステムに使うには十分な力を持っているといえる。

 別の話として,データ・ウエアハウジングの負荷のカテゴリの中で,24TバイトのLinux/Oracleシステムが,Microsoft最大の19.5Tバイトのエントリを上回っているのを見て驚いた。LinuxのほうがWindowsより高性能だと言いたいのではない。しかし,私は5年ほど前,ハイエンドの企業向けに使えるプラットフォームとしては,みんながWindowsを一笑に付していたことを思い出せる。そして今多くの人々が,Linuxについて同様に感じていることを知っている。2005 Winter Surveyは,VLDB向けに使えるプラットフォームとして,そして真剣に考慮すべき競合製品の1つとして,Linuxが認められていることを示しているようだ。