■開発コード名「Longhorn」が「Windows Vista」と正式な名称になってから,初めてのベータ版を紹介するシリーズ連載。第3回は,ファクスやゲーム,Internet Explorer 7.0などエンドユーザー向けの新機能を紹介しよう。
Beta 1で若干の変更があるかもしれません。
今回は,搭載予定のエンドユーザー向け機能をいくつか紹介する。Windows VistaのBeta 1はエンドユーザーにとっては,それほど重要なリリースではない。「ムービー・メーカー」や将来のデジタル・メディアの拡張機能など,エンドユーザー向けの機能のほとんどはBeta 1に備わっていないからだ。まだ,あらゆる新機能が開発中である。いくつかは既に実装されているが,他のものは将来搭載されるものを想像するヒントが示されているに過ぎない。
ファクス
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ゲーム
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Internet Explorer 7.0
Microsoftは,Windows XPをリリースして以降,数年間Internet Explorer(IE)の開発を完全に中止して,LonghornのWindowsシェルの中にIEの機能を持たせる計画にしていた。その後,「Firefox」での米Mozilla Foundationの成功を見て,現在はIEのチームを再編成している。このチームからの最初の製品は,Windows XP Service Pack 2(SP2)と一緒に出荷されたバージョンのIEである。次が,Internet Explorer 7.0(IE7),つまりWindows Vista Beta 1の中にあるこの製品のベータ版になる。
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もちろん,一番目立つものは,ようやくタブ・ブラウザ機能をサポートしたことだろう(写真-3)。こんなにも長い間タブ付きブラウジング・インターフェースを使わずにMicrosoftがどうするつもりだったのか。IE7で同社は,それを正しい方向に戻すほめられるべき仕事をした。一番右側のタブの右には[New Tab(新しいタブ)]ボタンがあり,CTRL+TやCTRL+Wのキー操作でタブを開いたり閉じたりできる。これは評価されるべきである。大抵のMicrosoft製アプリケーションは,タブを閉じるのにCTRL+F4を使うのにこだわっているが,片手でこの操作をするのは困難である。
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RSS対応ページでは慣れたIEの操作を使って(お気に入りに登録する),対象のフィードを購読することもできるようになっている。あるRSSフィードをお気に入りに登録すると,当然ながら,元のサイトではなくそのフィードが利用できる(つまりそのフィードに対して慣れ親しんだIEがフロントエンドに使えるようになる)。
Microsoftはフィッシング詐欺を防ぐことにも取り組んでいる。この攻撃では,悪意のある人間によって,ユーザーが名前やパスワードや果てはほかの重大な個人データを提供するよう仕向けられる。そのために,攻撃者は不正なWebサイトを正規のeコマース・サイトやオンライン・バンキング・サイトに見せかけるのである。「Phishing Filter(フィッシング・フィルタ)」はその名前の通り,オプトインの機能である。私が知る限りでは,それは今のところ何もしない。私が明らかにフィッシング・サイトと分かっているアドレスを2つ,IEに入力したが警告は出なかった。
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プラグインなしにIEをロードするという,[System Tools(システム・ツール)]フォルダ内に隠された特別なバージョンのIE7もある。「Internet Explorer (No Add-ons)」と名付けられたこのバージョンは,何かの方法であなたのシステムが危険にさらされた場合や,スパイウエアが邪魔をしてブラウザを通常通りに使えない場合に役立つ。言い換えれば,安全のためにMicrosoftは通常のIEのように動作しないバージョンのIEを出荷しなければならなかった。
最後に,MicrosoftはWindows Vista内のOutlook Expressをアップグレードする計画を立てている。残念ながらいつかは,という話だが……。Windows Vista Beta 1は,いまだに古き良き「Outlook Express 6」を内蔵している。だが,これは4年前にWindows XPに搭載されてデビューしたものだ。
私はまもなくIE7を別に評価するつもりで,Windows Vista版とWindows XP向けに出荷される予定の公式版の間の違いに着目するつもりである。
ネットワーク・プレゼンテーション
Windows Vista Beta 1は,標準的なネットワーク・プロジェクタを使い,無線ネットワーク越しにプレゼンテーションを行える技術を内蔵する。なぜこの少数の人だけが使う機能が,システム・トレーの右側にあり,[Start(スタート)]メニューにもデフォルトで追加されているのかは分からない。私は,これをテストするためのネットワーク・プロジェクタを持っていないが,調べてみるつもりだ。
リモート・デスクトップ接続
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プロダクト・アクティベーション
ご想像通り,プロダクト・アクティベーション(ライセンス認証)はWindows Vista Beta 1にもまだあるが,その動作はWindows XPのとは異なっている。私は昔,アクティベーションでは,インストール後に初めてリマインダ・ダイアログを表示するまでに数日間待ってくれると書いたことがある。しかし私はそれを経験しないで済んでいる。事実,Windowsを何回かインストールしているが,それを見たことがない。一度だけ,最初のインストール後2~3日間ネットワークが動くように作業を済ませられなかったとき,最後にアクティベーション・ダイアログがポップアップ表示された。しかしVista Beta 1は,デフォルトではユーザー・インターフェース内のどこにもアクティベーションがリストされない。これは興味深い。
音声認識
Windows XPにMicrosoftが搭載していたアクセシビリティ・ツール群に加えてWindows Vista Beta 1はあなたの声で自分のコンピュータを制御できるようにする新しい「Speech Recognition(音声認識)」アプリケーションを搭載している。このアプリケーションを最初に起動すると,ウィザードが(写真の新しいMicrophone Wizardを使って)システムのマイクを調整する作業を案内し,コンピュータに声を認識させるトレーニングをし,さらによく使われる10個のSpeech Recognitionコマンドを記したシートをオプションで印刷してくれる。
同期マネージャ
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Windowsバックアップ
Windows XPにある「バックアップ」アプリケーションは,Windows NTのころに装備された歴史の長いツールである。これはいずれ忘れ去られるだろう。Windows Vista Beta 1には,新しいデータ・バックアップ&リストア・アプリケーションの初期段階の半完成品が内蔵されている。それは「Windows Backup」と呼ばれており,意外に良いものになりそうだ。
Beta 1では,はっきりと「Windows Backup (BETA)」とマークされた,開発コード名「SafeDocs」というこのアプリケーションは,ほかのバックアップ・ソリューションを台無しにする厄介なディレクトリ・ツリー構造をなくし,はるかにもっとシンプルなやり方で動作するだろう。Beta 1では,自動的にファイルをバックアップしたり,特定のファイルやフォルダをリストアしたり,全ファイルを復旧したりできる。最終的には,ファイル・タイプに従ってバックアップできるようになり,CDやDVDメディアだけでなく,リムーバブル・ハード・ドライブを利用できるようになるはずだ。Beta 1でもそうなっている。
Windows Media Player 10
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そのほかの機能
私はBeta 1の[Start(スタート)]メニューの項目と,Windows XPの中のそれらを比べることに長い時間をかけた。ご想像の通り新しい機能が追加された一方で,いくつか消えたものがある。Beta 1では以下のアプリケーションがStartメニューからなくなった。
「HyperTerminal(ハイパーターミナル)」
「Backup(バックアップ)」(これは置き換えられている)
「Disk Cleanup(ディスク・クリーンナップ)」
「Disk Defragmenter(ディスク・デフラグ)」
「Files and Settings Transfer Wizard(ファイルと設定の転送ウィザード)」
「Scheduled Tasks(タスク)」
「Security Center(セキュリティ・センター)」(ただしコントロール・パネルにはある)
「System Information(システム情報)」
「System Restore(システムの復元)」
「Scanner and Camera Wizard(スキャナとカメラ)」
「Tour Windows XP(Windows XPツアー)」
——だ。詳細に調べれば,もっとたくさんあると思う。