まもなく正式版が出荷される「System Center Data Protection Manager(DPM)2006」の製品レビュー記事に備えて,最近ずっとこのソフトを使っている。これは面白い製品で,手軽な値段で非常に管理しやすいディスク・ベースのデータ・バックアップ・サービスを提供するものだ。まだ評価を始めたばかりだが,DPMをちょっと紹介したいと思う。

ディスク・ベースのバックアップ・システム
 まずDPMとは何か? 先に書いたように,このソフトは多くの企業が利用しているテープ・ベースのバックアップ・システムに置き換わるものではなく,強化するように設計されたデータ保護システムである。テープ・ベースのバックアップに伴う問題は無数にある。テープ・ベースのバックアップは難しく,コストがかかり,アクセスに時間がかかるし,さらに,そのハードウエアの特性によって,しばしば不完全なため,バックアップを作られないこともある。

 私が理解した範囲で言えば,DPMは1クリックで使えるUSBベースのPCバックアップ・ドライブのたぐいを企業向けにしたものである。単純にあなたの環境に,このシステムを導入し,必要があれば,それに従って構成すればすぐに作業できる状態に戻れる。その後にそれは指定したデータとディスクのスナップショット・バックアップを指定した時間間隔で取る。それはディスクとネットワークをベースにしていて,さらにバンド幅にあったコピー・アルゴリズムを採用しているため,あなたが望む頻度でバックアップを開始できる。さらにエンドユーザーたちは管理者の仲介がなくても,直接DPMからリストアができる。これは時間とお金の節約になる。

SQLとIISを使用
 DPMのインストレーションと構成はちょっと時間がかかるにしても分かりやすいものだ。その作業では「SQL Server 2000 Service Pack 3a(SP3a)」と「SQL Server 2000 Reporting Services SP1」,「Internet Information Services(IIS)6.0」をインストールする。管理コンソールは,最新のマイクロソフト管理コンソール(MMC:Microsoft Management Console)」をベースにしていて単純明快で,モニタリングと保護,リカバリ,レポート作成,管理用のモジュールが付属する。DPMを初めてインストールする際は,どのディスクをストレージ・プールの中に配置するかを決め,あなたが保護する予定のサーバーにリモートで「DPMエージェント」をインストールし,さらに保護対象グループを作る必要がある。保護対象グループは,保護すべきデータのセットとそれが保護される頻度を指定するものだ。DPMがどのくらい多くのバンド幅を消費してよいかを,バンド幅の利用率の制限を使うことで設定しておくこともできる。

 もちろん,DPMがこの分野で唯一のソリューションというわけではない。Symantecが最近,私に同社の連続的データ保護ソリューションについて知らせてきた。これはDPMと似ているように見える。ただし,もっと多くの情報を知るにはもう少し待たなくてはならない。

 Microsoftが提供しているものはうまく動くし,一般的に役に立つに違いない。だが,ちょっとした注意は必要だ。それはドメイン・コントローラ(DC)ではなく,Active Directory(AD)のメンバー・サーバーにインストールする必要があるのだ。このことは小規模な現場での利用を制限することになりそうだ。そして,私は十分論理的に思えるのだが,DPMをインストールしたサーバーのシステム・パーティション上には保護されたデータをストアできない。つまり,DPMには記録用に別の物理ディスクを用意しなければならない。付け加えると,DPMは32ビット版しかない。

将来はExchangeやSQLも保護
 さて,2つの問題が,恐らく実装を考えている人たちの何人かにとって,契約を止める原因になるだろう。第1にDPMはファイル・サーバーしか保護しない。Exchange ServerやSQL Serverやそのほかの共通のデータ・ストアのことを考えていない。また,DPMはテープ・ベースのバックアップを完全に置き換わるものではない。この製品は,ユーザーに対して一定の制限付きのストア期間を提供する。より永続的な長期のバックアップのためには,やはり昔からあるバックアップ・ソリューションを併用する必要がある。Microsoftが言うには,5から99台のサーバーをも持ち,少人数のIT担当者がおり,専任のバックアップ管理者がいないユーザーが理想的なDPMの対象である。支社や拠点のバックアップ・ソリューションを必要とするもっと大きな企業もDPMが役に立つと考えられる。

 DPMはやたらと高いものではなく,Microsoft Operations Manager(MOM)ライセンシング・モデルに従う。もし,私がやっているようにご自分で導入したいのなら,3エージェント・インストレーション付きのシングル・インスタンスのDPMを950ドルで入手できる。米Hewlett-Packard(HP)などのパートナ企業も,DPMをプリインストールしたストレージ・アプライアンスやラックマウント型サーバーを提供する。将来的には,DPMの改訂版はExchange ServerやSQL Server,SharePoint Portal Serverをサポートするだろうし,Longhorn Server時代には64ビット版が出荷されるだろう。これらとそのほかの改良は,きっとこの製品の市場を大きく広げるだろう。私はDPMのようなディスク・ベースのソリューションが将来の主流になることにほとんど疑問はない。