■複数のドメイン・コントローラを配置すると,同期作業のためのトラフィックが多くなり,他の通信を阻害する可能性がある。これを防ぐため,Active Directoryでは「サイト」と「グローバル・カタログ(GC)」が導入されている。今回は,サイトとグローバル・カタログの構築方法を解説しよう。

(横山哲也=グローバル ナレッジ ネットワーク)


 前回解説した手順でActive Directoryを作成すれば,一通りの機能を使うことができる。しかし,複数拠点にまたがるドメインを構成する場合は,「サイト」と「グローバル・カタログ(GC)」の配置を考慮することで,同期(複製)作業のためのトラフィックを減らし,より効率的な運用ができる。

 今回はサイトとGCの構築方法について解説する。なお,サイトとGCの概念については第4回で解説しているので,そちらを参照してほしい(該当サイト)。

サイトを構築する手順
 第4回でも解説しているが,ここでサイトについて簡単に説明しておこう。

 サイトとは接続状態のよい,つまり「信頼性が高く,高速通信が可能な1つ以上のTCP/IPサブネット」と定義される。高速の定義は必ずしも厳密ではないが,一般にはLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)で接続された領域を高速とみなしている。ただし,広域イーサネットのように「速度はLANだが運用形態はWAN(ワイド・エリア・ネットワーク)である」場合もあり,実際に広域イーサネットを単一のサイトとして構築する事例も増えている。

 サイトはドメインのような論理的なネットワーク単位とは関係なく構成される物理的な単位である。フォレスト全体に対して有効である。そのため,サイトの管理には「Enterprise Admins」グループの権限が必要となる。サイトの目的は主として以下の2つである。

●複製トラフィック制御
 Active Directoryではドメイン・コントローラ同士が定期的に同期(複製)作業を行い,情報の整合性を維持する。このためのディレクトリ・データベースの複製データを圧縮する。また,複製する間隔や時間帯を設定することで,トラフィックを制御する。

●認証トラフィックの制御
 ログオン認証を行うドメイン・コントローラを限定する。

 それでは実際にサイトを構築してみよう。サイトを利用するためには,[スタート]メニューから[管理ツール]−[Active Directoryサイトとサービス]を選択して起動し,大まかに以下の段取りで設定する。

ステップ1:サイトを作成する
ステップ2:サイトにTCP/IPサブネットを割り当てる
ステップ3:サイト・リンクを作成する
ステップ4:ドメイン・コントローラを適切なサイト内に移動する
ステップ5:ライセンス・サーバーを指定する

 では,順番に従い,操作手順を説明しよう。