■アドビシステムズが「Adobe Acrobat 7.0」の廉価版を2005年4月に出荷開始し,ソースネクストも夏にバージョンアップを行った。人気のある低価格PDF作成ソフトをセレクトし,使い勝手を比較した。



 特定のプラットフォームに依存せずに扱える文書ファイルとして,PDF(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)ファイルはますます普及している。それに伴ってPDF作成ソフトの分野は,高機能製品と機能限定製品に2極化している。

 高機能製品は,主に企業向けで情報漏えい対策機能やグループによる共同利用などを備えたり,中にはサーバーが必要になるものもあり,価格も数万円はする。一方,機能限定製品は,一般消費者向けでPDF文書を手軽に素早く作成するだけで,数千円の低価格なものである。

 「低価格PDFソフト」と一言でいっても,無償ソフトがある一方で,価格帯も2000~5000円と幅がある。そして機能も,PDFを作成するだけでなく,使い勝手やセキュリティなどで違いがある。ここでは,手軽にPDF文書を作成する低価格ソフトとして最近相次いで登場した製品を比較紹介しよう。

3社の無償・低価格の製品に絞る
 いくつかあるPDF作成ソフトの中でも,価格の低さと人気を鑑み,クセロ,ソースネクスト,アドビシステムズの3社の製品に絞り込むことにした(表1)。

販売元 製品名 参考価格
クセロ クセロPDF 無償
クセロ瞬簡PDF 2940円
ソースネクスト いきなりPDF2 1980円
いきなりPDF Professional 2 2970円
アドビシステムズ Adobe Acrobat 7.0 Elements 5145円
表1●今回取り上げる低価格PDF作成ソフト

 クセロの「クセロPDF」は無償のオンライン・ソフトとして圧倒的な人気がある。同社では,その有料版としてやや上位の位置付けの「クセロ瞬簡PDF」も出している。ソースネクストの「いきなりPDF 2」は2005年8月26日に発売されたばかりであるが,旧バージョンはパソコン・ショップの売上ランキングで上位に食い込んでいた。また,その上位版である「いきなりPDF Professional 2」も1000円高いだけで機能が充実しており人気の製品だ。最後のアドビシステムズの「Adobe Acrobat 7.0 Elements」は,主力製品「Adobe Acrobat 7.0」の廉価版。同社が廉価版を一般向けに販売するのは初めてのことである。

 最初にこれらの主な機能の比較表を見てもらいたい(表2)。以下,個々の製品を見ていく。

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表2●主な機能比較