「クセロPDF」
無償ながら必要な機能がそろっている

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図1●「クセロPDF」のPDF文書作成は印刷機能の延長で行う
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図2●[名前を付けて保存]ダイアログ画面で保存指定する
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図3●クセロPDFのセキュリティ設定画面
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図4●クセロPDFの文書情報の設定画面
 「クセロPDF」は無償で,ベクターなどのオンライン・ソフトのサイトに行けばダウンロードできる(該当サイト)。無償である代わりに,クセロPDFでPDF文書を作成すると3回に1回は,同社のWebページを表示するようになっている。

 クセロPDFを使ったPDF文書の作成は,ワープロ・ソフトや表計算ソフトなどから印刷を実行し,[印刷]のダイアログ画面で[プリンタ名]に[クセロPDF]を選択するだけで実行できる(図1)。その後,[名前を付けて保存]ダイアログ画面が開くので,PDF文書の名前と格納フォルダを指定する(図2)。このようにPDF文書を作成するときの操作として,印刷先のプリンタにPDF作成ソフトを指定するというのは,元々PDFが印刷技術の延長として登場してきたため,伝統的な操作になっている。

 クセロPDFはPDF文書にパスワードを設定することも可能である。パスワードなどは図1の印刷ダイアログ画面で[クセロPDF]を指定した後,[プロパティ]ボタンをクリックして設定する(図3)。こうして作成されたPDF文書は,「ユーザー・パスワード」と「マスター・パスワード」が分からなければ,開けないようになっている。ユーザー・パスワードを指定して開いた場合は,印刷やコピー&ペーストができない。マスター・パスワードを指定して開いた場合は,印刷やコピー&ペーストができる。

 また,同ダイアログ画面の[文書情報]タブを開くとタイトルや作成者などを指定できる。ここで指定した文書情報は,Adobe Readerなら,文書のプロパティに表示されるが,エクスプローラでアイコンにマウス・ポインタをかざすと現れるバルーンや,右クリック・メニューの[プロパティ]では表示されない(図4

 これらの設定はプリンタ・ドライバのプロパティという形で実現しているためか,前回の情報が残っている。パスワードやプロパティなど文書によって設定を変えたいケースなどには,必ず確認する癖を付けたほうが無難であろう。

 クセロPDFではPDF文書の作成時にセキュリティ設定が可能だが,作成済みのPDFへの加工ができないためセキュリティ設定の変更はできない。クセロでは,一度設定したパスワードを解除する用途に「クセロ瞬簡PDF」を薦めている。

「クセロ瞬簡PDF」
分割・結合などの機能を別ツールで補完

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図5●別ツール「瞬簡出力」
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図6●別ツール「瞬簡ツール」
 「クセロ瞬簡PDF」は,クセロPDFの高機能版である。プリンタ・ドライバとしてPDF文書を作成する場合は,広告が表示されないだけでクセロPDFとの機能的な違いはほとんどない。

 クセロPDFに比べ,クセロ瞬簡PDFならではの機能として,「瞬簡出力」「瞬簡ツール」というツールがある。「瞬簡出力」はファイルをアプリケーションから開くことなく,PDF文書を作成するツールで,ドラッグ&ドロップにも対応している(図5)。

 瞬簡ツールはクセロPDFではできなかったセキュリティの解除などが行える。クセロPDF,クセロ瞬簡PDFでは前回設定したセキュリティ情報が残っているため,セキュリティを設定したくないPDF文書にうっかりセキュリティ設定してしまうことがあり得る。そんなとき,瞬簡ツールを使うとセキュリティを解除できる(図6)。

 セキュリティ解除以外にもセキュリティ設定,PDF文書の結合・分割,ページ抽出,テキスト抽出などの機能がある。

 PDF分割を使用すると大きなPDF文書を1ページごと,あるいは指定した区切りで分割できる。大きなPDF文書をメールで送りたいが,サイズ制限がある場合などに重宝する。PDF結合は分割されたPDF文書の結合に使用する。ページ抽出はテキストの一部分のみ抜き出すなどの用途に使用できる。いずれも便利なツールである。

 テキスト抽出は文字主体のPDF文書をテキスト化するのに役立つが,PDF作成ソフトの癖により,期待通りの出力が得られないこともある。