政府のIT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」の改定版が閣議決定された6月24日以降も、電子行政に関する政府の動きが続いている。

 6月27日には、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)の下に新設された「eガバメント閣僚会議」の第1回会合が開かれた。7月4日には、内閣情報通信政策監(政府CIO)から、2015年度のIT関係施策に関する「戦略的予算重点方針」が示されたほか、政府のIT投資状況を可視化する情報公開サイト「IT Dashboard」も公開された。

 政府のIT戦略のうち、社会保障・税の番号制度(マイナンバー制度)に関わる新しい動きについては6月にまとめた(「“番号ウサギ”はマイナンバーの「今」と「次」の課題を跳び越えられるか」)。今回はマイナンバー以外の電子行政関連分野の改定事項を取り上げる。浮かび上がってくるのは、国の行政機関だけでなく自治体までも含めて、行政システム全体の高度化・効率化に本気になった政府の姿である。

自治体のオープンデータ化を国が支援へ

 新戦略の重点施策の一つである「オープンデータの推進」に関しては、各府省庁のデータを集めた「データカタログサイト」の本格版を10月1日に稼働させる。サイト構築事業の入札は5月22日に公示済みで、7月17日の開札で構築事業者が決まる。

 稼働中の試行版サイトは2013年度の調査事業の一環として開設されたことから、年度替わりの4月1日に突然休止され、批判の声が上がった。再開されたのは事業費の手当てが付いた5月16日だった。本格版の稼働により、こうした経費面の理由から休止に追い込まれる恐れはなくなるだろう。

 本格版では、トップページに検索窓を設けるなど検索インタフェースを改善するほか、メタデータのダウンロード機能やAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)によるメタデータ取得機能などを強化する。

 新戦略では、これまでの政府機関のオープンデータ化にとどまらず、自治体が保有する公共データのオープンデータ化を支援する取り組みも新規に盛り込まれた。背景には、2020年の東京オリンピック開催にともない、観光・防災などの地域の情報に対するニーズが高まると考えられることなどがある。

 IT総合戦略本部の下の電子行政オープンデータ実務者会議での検討を踏まえて、情報流通連携基盤共通APIや情報連携用語いデータベースの開発・実証、公共クラウドの構築などにより、自治体のオープンデータ化を支援していく。加えて、実務者会議では自治体もメンバーに加えた作業部会を7月中に立ち上げ、重点分野やデータの公開方法などを検討し、年内に最終報告をまとめる。希望する自治体に対しては、政府のデータカタログサイトにデータを掲載できるようにすることも検討する。