士業の“価格破壊”と言われるクラウドサービスが登場した。2014年5月12日にベンチャー企業のビズグラウンドが提供を開始した「Bizer(バイザー)」がそれだ。「クラウド士業」と銘打つ新手のクラウドサービスのWebページを見ると、次のような文言が飛び込んでくる。「税理士 社労士 行政書士 司法書士 全て含めて月額の顧問料が2980円」(写真1)。Bizerに登録する士業の有資格者が、会員登録したユーザーの相談に回答する。相談は何回でも可。会員が支払う料金は月額2980円だ。

写真1●ビズグラウンドが提供する「クラウド士業」の「Bizer(バイザー)」
写真1●ビズグラウンドが提供する「クラウド士業」の「Bizer(バイザー)」
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 一般に税理士の顧問契約料金は、以前のような報酬規制は撤廃されたとはいえ、月額数万円が相場だ。ここだけ見ると、Bizerは士業の“価格破壊”と取られなくもない。だが、その実体は価格破壊というより、士業のサービスをスモールビジネス向けに最適化した結果だということが分かる。一方、士業側にとっては空き時間を有効活用した薄利多売のビジネスモデルのようにも見えるがそれも違う。後述するが、Bizerでは士業の有資格者が無報酬で相談に応じているからだ。

 そもそもBizerが対象にしているユーザーは、税理士との顧問契約が必要かどうかが未知数の個人事業主や零細企業である。いずれにせよ、Bizerは興味深いビジネスモデルで運営されている。以下で詳しく見ていこう。

無報酬で相談に応じる

写真2●ビズグラウンド代表取締役社長の畠山友一氏
写真2●ビズグラウンド代表取締役社長の畠山友一氏
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 Bizerを運営するビズグラウンドを創業した代表取締役社長の畠山友一氏は、「世の中も変わってきて、新しい会社が出てきているのに、それをサポートすべき人たちが変わっていない気がする。新しいサービスを提供しようとしている人たちに対して、新しい場を作ろうというのがBizerだ」と述べる(写真2)。畠山氏が実際に多くの士業の有資格者に様々な手続きを依頼したり、経営者にヒアリングしたりして、こうした感触を得たという。