富士通の山本正已社長は、ようやくテクノロジーソリューション事業に成長の軸足を移す決断をした。2014年5月29日の経営方針説明会で明らかにしたことで、パソコンやモバイル端末、半導体はテクノロジーソリューションを支える事業と位置付けたように見える。

 山本社長は経営方針説明会の冒頭、「構造改革は一定のメドがついた。2014年度からは成長戦略を経営の焦点にする」とし、16年度に過去最高の営業利益2500億円(IFRSベース)を目標に設定した。13年度の1472億円(同)から約1000億円増になるが、その多くをテクノロジーソリョーション事業から稼ぎ出す計画のようだ。そのために、同事業の売り上げを13年度の3兆2430億円から16年度に3兆8000億円と年率5%強で成長させる。

 パソコンやモバイル端末などからなるユビキタスソリューション事業と、半導体などからなるデバイスソリューション事業は、不確定な要素があるとして、数値目標を公表しなかった。

 では、営業利益2500億円(IFRS)をどう達成するのだろう。テクノロジーソリューション事業は以前から富士通の大きな収益源なので、13年度の営業利益2091億円は総収益(1425億円)の倍近い。つまり、ユビキタスとデバイスの事業は低収益か赤字かということになる。

 目標達成には、テクノロジーソリューション事業の売り上げを伸ばすと同時に、収益率を高める必要がある。13年度並みの営業利益率では、16年度の営業利益は2500億円弱になる。この数字はIFRSベースではないが、目標の約1000億円増には500億円程度足りない。