「当社のシステム基盤はオフコンとAWS(Amazon Web Services)です」――。最初に聞いたときは耳を疑った。何とも奇妙な取り合わせに思えたからだ。

 筆者は日経SYSTEMS6月号で「使って分かった!失敗しないAWS」という特集を担当した。AWSを活用するユーザー企業の事例から、失敗しない導入法を学ぶというコンセプトの記事だ。ユーザー企業を取材していて出会ったのが、前述した使い方をするジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS)である。サラブレッドの個体情報を登録して、血統を管理する公益財団法人だ。

 使っているAWSのサービスは、仮想マシン「EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)」と、ストレージサービス「S3(Amazon Simple Storage Service)」くらいのもの。分散コンピューティングや自動化のような、目を引く使い方をしているわけではない。しかし、AWSをITインフラとしてごく自然に使うという、「これからのクラウド・AWS活用」の象徴的な事例になるかもしれないと感じた。

 日経SYSTEMS本誌では詳しく紹介できなかったので、この欄を借りて紹介していきたい。

DATテープ保存機能でAWSにイメージデータ送る

写真●公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルの羽部勉情報システム部主査
写真●公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルの羽部勉情報システム部主査
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 JAIRSの羽部勉情報システム部主査は「昭和50年代にサラブレッドの登録をオフコンで電算化して、その後ずっと更新し続けてきた」と説明する(写真)。「オープン化したかったが、単純なコンバートでもかなりのコストがかかる。過去、オープン化のプロジェクトを断念したこともあった」。

 悩んだ羽部氏が出会ったのがAWSだ。JAIRSのWebサイトを構築したサーバーワークスから紹介を受けた。北海道に設置していたバックアップ用のオフコンに代わり、AWSでバックアップすることにした。その結果、JAIRSのシステム基盤はオフコン+AWSという構成になった。