世間の注目度は今のところまだ高くはないようだが、何だか気になる。今年に入って、そう思った話がある。ERP(統合基幹業務システム)パッケージ国内大手のワークスアプリケーションズが発表した、2月26日付のニュースリリースだ。

 その内容は、「ワークスアプリケーションズが東京大学と経済産業研究所と手を組み、グローバルで勝てる人材政策のメカニズムを研究する」というものだ。直感的に何だかすごそうである。どんな方法で、そんなことを実現しようとしているのだろうか。

 取り組みのキーワードは、ビッグデータ分析だ。「今回の研究は、企業の人事関連データを収集・分析し、人事を科学しようという試みだ」。ワークスアプリケーションズの鈴木竜プロダクト事業本部ゼネラルマネジャーは、こう説明する。

 人事ビッグデータ分析の手順はこうだ。

アンケートでなく“生”の人事データを分析

 企業から従業員の労働時間や評価、昇進の状況、配属先など人事関連の生のデータを集める。次に、膨大な人事関連データを、労働経済学という学問を生かして統計分析する。そして、分析結果を様々な労働問題の解決に役立てようというわけである。

 今回の取り組みで注目すべきは、企業の“生”の人事関連データを活用・分析する点。企業の人事部に労働実態アンケート調査を送付して、回答してもらい、それを分析するという従来手法とは一線を画す。

 ワークスアプリケーションズは、同社のERPパッケージ「COMPANY」を導入しているユーザー企業に理解と協力を仰ぎ、人事関連データを集める。それを、東大と経済産業研究所と共同でデータ分析する。