総務省は、情報通信審議会の下に新たな特別部会「2020-ICT基盤政策特別部会」を設置し、2020年代に向けた規制改革の議論を進めている。特別部会内に設置した「基本政策委員会」では、これまで大手通信事業者をはじめ17者に対する公開ヒアリングを終えた。

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  •  公開ヒアリングで最も注目を集めたのは、NTT、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの幹部がそろい踏みとなった第4回の会合(写真1)。ただ内容は、NTTとNTTドコモが規制緩和、KDDIが設備競争の維持、ソフトバンクが光回線の1分岐貸しをそれぞれ求めただけ。既視感の漂う議論に終始した。

    写真1●基本政策委員会の第4回会合の様子(撮影:新関雅士)
    写真1●基本政策委員会の第4回会合の様子(撮影:新関雅士)
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     ソフトバンクでは公開ヒアリングに当たって、孫正義社長から「どうせガス抜きに決まっているが、そうならないような作戦を考えろ」との号令が事前に下っていた。それだけに新たな提案を期待していたが、蓋を開けてみれば、主張を「1分岐貸し」の一本に絞るという作戦だった。

     NTTグループへの規制緩和を巡っては、「断固反対」として競合事業者の足並みがそろう。しかし、そこから先は各社で主張が分かれる。意見がバラバラで決め手に欠けるため、議論が前進しない――。2010年の「光の道」構想の議論を含め、同じような構図が長らく続いている。

     今回の記者の眼では、まさにこれから始まる議論の主要なテーマについて、仮説を検証していきたい。「仮説の検証」は少し大げさで、業界関係者への取材を基にした「邪推」に近いとも思うが、議論の理解を深めるための「頭の体操」と考えていただければ幸いである。