3月中旬、日経コミュニケーション主催でMobile World Congress(MWC)2014報告会が開催された。筆者は講演者の一人ではあったが、自身の収穫も多かった。私見だが、今年のMWCで興味深かったのは、端末よりも通信インフラだと感じた。それも5G(第5世代移動体通信システム)のような次世代無線規格ではなく、NFV(Network Functions Virtualisation)などのネットワーク側の技術革新である。

グーグルのAndromedaはNFV実装

 汎用サーバー群の上で、ネットワーク機能を仮想的に実装する─。NFVのようなコンセプトは以前から通信機器ベンダーを中心に提案されていたが、今回のMWCではソリューションとしてのパッケージ化が進み、既に商用段階にあることを感じさせた。

 今後採用が進めば、クラウドベンダーがインフラ事業者に、あるいは不動産デベロッパーが事実上の通信事業者になるのかもしれない。そんな、産業構造やエコシステムを変えてしまうような大きな潮流の変化である。

 言ってしまえば米アマゾンのクラウドサービス「AWS」の上に通信インフラが載るような話である。とはいえ、「キャリアグレード」を満たすことは容易ではない。普及や定着にはまだ時間を要する。筆者はそう思っていた。

 ところが、そんな見立てはあっさり覆された。3月末、グーグルが同社のデータセンター内でネットワーク仮想化スタック「Andromeda」を運用していることを発表したからだ。

 Andromedaの目的は、グーグルが提供するクラウドサービス「Compute Engine」の利用者向けに、高性能なネットワーク機能を仮想的に提供すること。グーグルが有するネットワークや仮想化技術を適用し、同社のサービスと同等のネットワーク品質を利用者に提供できるとうたっている。