クラウド大手のアマゾン・ウェブ・サービスがこの3月、仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」を一般公開した。これまで限定プレビューだったこともあり、日本での注目度は決して高くなかった。また、Windowsデスクトップ環境をクラウドで貸し出すサービスでありながら、「サーバーOS」を使っていることも注目を集めなかった。

 Amazon WorkSpacesの使い方は簡単だ。同社の利用ポータルからサインアップすれば、数十分で仮想デスクトップが手に入る(画面)。最も安価な「スタンダード」の利用料金は月額35ドル。これで、1仮想CPU、3.75ギガバイトのメモリー、50ギガバイトのスペックを持つ“専用PC”が、アマゾンのクラウド上に配備される。あなたは、その専用PC上でMicrosoft Officeや各種クライアントアプリケーションを利用できる。ただし、それらは「Windows Server 2008 R2」上で動いている。

画面●Amazon WorkSpacesのポータル
画面●Amazon WorkSpacesのポータル
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 なぜ、アマゾンはサーバーOSを使うのか。それを理解するには、少しだけ、仮想デスクトップの基礎知識が必要だ。仮想デスクトップとは、サーバー側にデスクトップ環境を用意し、手元にあるPCやタブレットなどの端末から、画面転送プロトコルで通信する。数多くのデスクトップ環境をサーバー側で一元管理できる、端末上にデータが存在しないのでセキュリティを保てる、といったことがメリットだ。その方式はいくつかある。