「SAPやオラクルが提供するERPの保守料金は価値に見合うか」。このほど来日した、第三者保守サービス会社の米リミニ・ストリートのセラ・ラビンCEOは、日本のERPユーザーにこんな問題を提起するとともに、保守料金を半額にする方法を提案する。

 同社によると、日本のERPユーザーはライセンス料金の22%程度を年間保守料として支払っている。SAPとオラクルの分を合計したその額は、約1200億円にもなり、ソフト会社の大きな収益源になっているという。しかも、カスタマイズがあれば、追加料をもらえることもあって、「保守の利益率は90%超になる」(ラビンCEO)。企業側から見れば、保守・運用がIT予算の7割、8割を占める、一つの要因といえる。

 その一方で、保守サービスへの不満が高まっている。ある調査では、「不満」と回答したユーザーは59%にもなる。ラビンCEOは「既に機能は完備し安定したものになっているのに、強制的にアップグレードを求められる」と解説する。「ERPからのイノベーションはほとんどない」とも指摘する。つまり、支払金額に見合う対価を得られていないのではないか、ということだ。

 リミニは、解決策として「必要に応じたアップグレード」を提案する。分かり易く言えば、ソフト会社の都合に合わせての頻繁なアップグレードをしないということ。ある米国ユーザーは、バージョンアップごとではなく、5年から10年で新しいバージョンに更新することで、支出を抑制しているという。

 こうしたユーザーに対して、リミニはバージョンの新旧を問わず最大15年間サポートを提供する。料金には、カスタマイズ部分も含まれている。

 2005年に創業したリミニは、年率40%成長を遂げている。今では、500社超のユーザーに保守サービスを提供する。国内でも日本法人を設立し、13年10月から12月の間に、SAPユーザー1社、オラクル・ユーザー2社を獲得。パイオニアUSAなど日系多国籍企業7社も、同社のサービスを利用しているそうだ。