「以前はリリースまでがゴールだった。今は、リリースして直していくことが、ゴールになっている」。これは、大手Webサイトを運営するベンダーのエンジニアの発言である。システム開発や運用の現場に求められるスピード感が、また一段と加速している状況を映した発言ではないだろうか。

 「開発期間をいかにして短縮するか」ということが、システム開発で最も大きな課題となっていた時期もある。この課題を解決するため、エンジニアはゼロから開発するスクラッチ開発の手法を捨て、パッケージ製品をベースにしたカスタマイズという新たな開発手法で、開発期間の短縮を図ってきた。「ASP」という言葉が登場し、導入が進んだのも、同じ時期だった。

 こうした時期を経て、今は「短期間に開発できる」ことなど当たり前の状況になった。むしろ、リリース時点に必要な機能やサービスがそろっているだけでは不十分である。いま求められていることは、短期間に開発した上で、「リリース後に発生した新たな要望をシステムにすぐ実装できる」ことである。

 ここで注意してほしいのは、従来の保守開発のように、時間を掛けて機能追加できればいいというわけではないことだ。「求められたらすぐ追加」。このスピード感こそが重要なのである。いまシステム開発・運用の現場に求められている姿は、利用部門にタイムリーと感じてもらえる“タイムリー開発”を実現できる体制を整えることだ。

 タイムリー開発を実現するには、従来の保守開発の作業を効率化すればよい。効率化することで開発からリリースまでの作業が加速し、「すぐ追加」できるからである。効率化すべきポイントは、次の三つだ。

  1. 繰り返し発生する作業の自動化
  2. 手戻りの原因となる作業ミスの撲滅
  3. 成果物や作業工程の正確な把握