プログラミング学習を促進するうえで大きな障害になり得るもののひとつに、人材不足がある。

 産業競争力会議が2013年6月に発表した成長戦略素案(PDF)で、「ハイレベルなIT人材の育成・確保」を推進する具体的な施策として、「義務教育段階からのプログラミング教育等」が挙げられた。こうした経緯もあり、小中学生を対象にしたプログラミング学習への関心が高まっている。

 その是非や具体策を議論するときに、必ずといってよいほど挙げられるのが、教える人材の不足である。小中学校の先生がプログラミングを教えられるのか、教えられない場合はどのように育成したらよいのか、といったものだ。

 プログラミング教育に関するセミナーやシンポジウムでは、プログラミング学習の重要性については多く語られるものの、その具体策についてはなかなか踏み込めていない印象を受ける場合が多い。具体策に踏み込めない要因は、プログラミング学習の目的が異なる、対象にしている年齢やレベルが違う、などさまざまだ。

 なかでも最大の要因と思われるのは、プログラミング学習を教える人材の不足、および、それに付随する成果評価の難しさである。

写真1●東京学芸大学附属国際中等教育学校のプログラミング体験授業の様子
写真1●東京学芸大学附属国際中等教育学校のプログラミング体験授業の様子
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 この人材不足という障壁を解消するヒントになりそうな、プログラミング学習の現場を見ることができたので紹介したい。プログラミング学習だけでなく、IT活用を促進するうえでも、大いに参考になると思う。

 その現場とは、東京学芸大学附属国際中等教育学校(東京・練馬区)で、2014年2月10日と17日の2日間にわたって実施されたプログラミングの体験授業である。同校の中学1年生約100人が、5~6時限目を使ってプログラミングを体験するという内容だ(写真1)。