原稿を執筆する際、システムズエンジニア(SE)や情報システム部門と表記し、ITエンジニアあるいはIT部門とは書かない。だが今回は悪口だと受け取られかねないので、普段使わない呼び名を記事の表題に入れた。

 急いで補足すると、ITに関わる人や組織「だけ」がコドモなのではなく、ITに関わる人や組織「も」コドモという話である。日本の組織、そこにいる幹部と構成員、いずれも「本当にコドモ」と主張する本を読む機会があり、面白かった。ITpro読者に紹介する一文を書こうと思い立ち、「日本のITエンジニア、IT部門、IT業界はコドモである」という表題を付けてみた。

 技術者を応援する情報サイトTech-On!(4月から日経テクノロジーオンラインに全面リニューアル)であれば「日本のエンジニア、研究開発部門、製造業はコドモである」、日経ビジネスオンラインであれば、「日本のビジネスパーソン、管理職や経営者はコドモである」、建設・不動産の総合サイト、ケンプラッツであれば「日本の建設技術者、建設業界はコドモである」という表題にして寄稿しただろう。

 列挙していて気付いたが、「日本の記者、新聞社・出版社、メディア業界はコドモである」と題した一文を書いたほうがよいのかもしれない。IT業界とメディア業界を強引に括って情報産業界とし、以下では両者を念頭に置いて書き進める。

リスクマネジメントのプロが見た日本組織の実態

 日本の組織と構成員は「本当にコドモ」と主張している本は、『「一体感」が会社を潰す 異質と一流を排除する〈子ども病〉の正体』である。長い書名だが、これだけで内容が分かった方もいるだろう。

 日本の組織の強みとされてきた「一体感」および一体感の強制は、今や弱みになった。にもかかわらず、組織やその構成員は一体になることにこだわり、構成員は自律・自立ができず、コドモ同然の思考や行動を続けている。こういう主張である。