昨年1年間で、激しく乱高下した通貨がある。1通貨単位で見ると、2013年初頭から8月まで100ドル前後で推移したが、徐々に値を上げて11月には1200ドルに到達。その後、翌12月には400ドル台まで下げた。2014年1月31日現在は、920ドル前後で取引されている。

 この通貨は、発行体がわからず誰も価値を保証しないが、世界で約1200万通貨単位(日本円換算で約1兆1200億円)も利用されている「ビットコイン」だ。

ビットコインは便利な仮想通貨だが、セキュリティに注意が必要だ。
ビットコインは便利な仮想通貨だが、セキュリティに注意が必要だ。
※写真はイメージです

 ビットコインは、インターネット上で管理された仮想通貨である。仮想通貨といっても、海外では通販サイトで商品を購入する、街中にある店舗で食事をする、など様々なシチュエーションで利用できる。日本国内でも、ビットコインで決済できる飲食店が登場し始めている。

 このような、誰も価値を保証しない通貨が普及しているのは、取引に金融機関が介在しないため、ユーザーが為替レートなどを意識せず、気軽に決済できるからだ。米国や欧州の一部の国では、ビットコインを通貨として認める動きも出ている。

 このビットコインを支えるのは、複数の暗号化技術だ。そのため「暗号通貨」と呼ばれることもある。ただ暗号だけに守られた通貨なら、悪意を持つクラッカーが、残高を偽造したデータを作り、管理するコンピュータに送り込んで大金を得られそうなものだ。

 ところが、2009年から使われ始めたビットコインに、そのような話は聞かれない。どうしてだろう? 今後国内でも急速に普及するといわれるビットコインの仕組みを、ちょっとのぞいてみよう。