私事で恐縮だが、年始早々、腰を痛めた。ちょうど米国ラスベガスで開催された「2014 International CES」への出発当日に痛みがピークを迎え、長時間のフライトに耐えられないと判断。今回は参加を見送った。

 負け惜しみに近いのだが、日本から遠くのCESを眺めていたがゆえに気付いたことがある。今年は、パソコンの大きな転換点になるということだ。

 理由の一つは、東芝が発表した「Chromebook」だ。米グーグルが開発したChrome OSを搭載する一般的なノートパソコンで、北米では300ドルを切る価格が設定されている。

 東芝といえば「Dynabook」で、ノートパソコンというパラダイムそのものを切り開いたパイオニアであり、これまで米マイクロソフトと二人三脚で歩んできた。そんな彼らがグーグルのChrome OSを搭載したパソコンを発表するというだけでも話題性は十分だ。

 もっとも、転換点を感じたのはそれだけではない。発表された新製品から、新しいパラダイムの提案は感じられず、「2014年のパソコンはこれくらいで十分」という割り切りに似た印象を受けたからだ。

 そんな東芝とグーグルの深意を読み解くと、Chromebookによって「パソコンの終わりの始まりを見据えた戦略オプション」を狙っているように見える。

 例えば東芝はChromebookの出荷状況を分析することで、今後のハードウエアビジネス全般の趨勢を占うことができる。グーグルも、パソコン、タブレット端末、スマートフォンのすべてを俯瞰できる立場だけに、Chromebookの結果次第で選択と集中を進められる。