コンビニ業界で圧倒的な強さを誇る「セブンイレブン」を展開するセブン&アイ・ホールディングスと「ユニクロ」を手掛けるファーストリテイリング。こうした流通業の巨人たちを“超えた”作業服販売チェーンがある。全国に700店舗以上の作業服・作業用品店を展開するワークマンだ。

 ワークマンの株式時価総額は約800億円で、セブンの50分の1ほど。にもかかわらず、株式時価総額を従業員数で割った「従業員1人当たりの株式時価総額」で比較すると、立場は逆転する。ワークマンの従業員1人当たりの株式時価総額は約3億6000万円で、セブンの10倍超、ファストリの約2倍の水準だ。

 ワークマンは2013年、従業員1人当たりの株式時価総額を全社のKPI(重要業績評価指標)に設定した。「社員1人ひとりの力を最大限に引き出し、企業価値を高め、株主に報いたかった」(CIO=最高情報責任者の土屋哲雄常務取締役)。今は従業員1人当たりの株式時価総額で国内小売業トップを目指し、様々な施策を展開する。例えば、店舗を徹底して標準化したり、特売をしなかったりという具合だ。店舗の大きさは原則100坪で統一しており、値引き販売は全商品の1%以下に抑えている。

8つの自動発注アルゴリズムで“予測”

 さらなる成長を求めて、ワークマンが力を入れ始めたのがビッグデータの利活用だ。土屋常務は「少数精鋭で株式時価総額を1000億円、さらに1500億円と伸ばしていくためには、ビッグデータの利活用が欠かせない」と話す。今までのように現場の勘と経験に頼りきりでは、今後の成長は見込めないと判断した。

 具体的には、社内に蓄積した出荷データなどを分析して発注を自動化したり、複数の店舗を統括するスーパーバイザー(SV)に対してExcelを使ったデータ分析手法を教え込んだりしている。これまではSVにノートパソコンを配布しても、事務所のロッカーに鍵をかけてしまったままにしておくほどIT(情報技術)活用の意識は低かった。