この連載では、「仕事で成長するための思考術」を扱っている。前回までは「人の話を聞かない、傾聴できない」を説明した。「成長できない10のネガティブ特性」は次の通りである。

「成長できない10のネガティブ特性」

  1. 考えない、悩まない、思考停止
  2. 動かない、実行しない、立ち尽くす
  3. 柔軟性がない、頑固である
  4. 発信できない、働きかけない、共有できない
  5. 人の話を聞かない、傾聴できない
  6. 自分本位、思い遣りがない、人間音痴
  7. 想像力がない、発想が貧困である
  8. 目標がない、目的がない、夢がない
  9. 計画性がない、段取りが悪い
  10. 状況を把握できない、どの位置にいるのか分からない

 今回から六つ目の「自分本位、思い遣りがない、人間音痴」を説明する。

「自分本位、思い遣りがない、人間音痴」というネガティブ特性

 筆者の定義する「成長理論」において、「自分本位」とは、「一緒に仕事をする環境において自分の考えや想いを、他人よりも高いレベル・高い頻度で優先する」という状況を指している。

 「思い遣りがない、人間音痴」も「自分本位」とほぼ同じ概念であるが、こちらはもっと深刻である。すなわち、「自分の考えや想いだけがほぼすべてを占め、他人に配慮する意識がまったくないか、著しく低い」という状況だ。

 「自分本位、思い遣りがない、人間音痴」というネガティブ特性を持つ人に共通するのは、「他人から好かれない」「他人を怒らせる」「他人から相手にされない」ということだ。基本的には他人からの信頼が薄いから、人望も低いということになる。

 こういう理由だから、多くの人と協業するような仕事でリーダーをしても成果が出にくく、高く評価されないので、そこで能力向上が足踏みをすることになる。要は、成長のサイクルが止まるということだ。これを再び成長させるサイクルに乗せるためには、適切なネガティブ特性の改善が必要になる。