この連載では、「仕事で成長するための思考術」を扱っている。前回までは「人の話を聞かない、傾聴できない」を説明した。「成長できない10のネガティブ特性」は次の通りである。
「成長できない10のネガティブ特性」
- 考えない、悩まない、思考停止
- 動かない、実行しない、立ち尽くす
- 柔軟性がない、頑固である
- 発信できない、働きかけない、共有できない
- 人の話を聞かない、傾聴できない
- 自分本位、思い遣りがない、人間音痴
- 想像力がない、発想が貧困である
- 目標がない、目的がない、夢がない
- 計画性がない、段取りが悪い
- 状況を把握できない、どの位置にいるのか分からない
今回から六つ目の「自分本位、思い遣りがない、人間音痴」を説明する。
「自分本位、思い遣りがない、人間音痴」というネガティブ特性
筆者の定義する「成長理論」において、「自分本位」とは、「一緒に仕事をする環境において自分の考えや想いを、他人よりも高いレベル・高い頻度で優先する」という状況を指している。
「思い遣りがない、人間音痴」も「自分本位」とほぼ同じ概念であるが、こちらはもっと深刻である。すなわち、「自分の考えや想いだけがほぼすべてを占め、他人に配慮する意識がまったくないか、著しく低い」という状況だ。
「自分本位、思い遣りがない、人間音痴」というネガティブ特性を持つ人に共通するのは、「他人から好かれない」「他人を怒らせる」「他人から相手にされない」ということだ。基本的には他人からの信頼が薄いから、人望も低いということになる。
こういう理由だから、多くの人と協業するような仕事でリーダーをしても成果が出にくく、高く評価されないので、そこで能力向上が足踏みをすることになる。要は、成長のサイクルが止まるということだ。これを再び成長させるサイクルに乗せるためには、適切なネガティブ特性の改善が必要になる。