「社会保障と税に関わる番号制度」、いわゆるマイナンバー制度のための国によるシステム調達が本格化してきた。8月15日の入札公示で、システム本調達の先陣を切った国税庁の「法人番号システム」と「(国税システムの)共通番号管理システム」は、10月29日に開札があった。ともに予定価格の6割を下回る応札だったために、低入札価格調査の対象となったが、それぞれ富士通と日立製作所が落札した。

 11月8日には、「中間サーバー」のソフトウエア設計・開発業務についての開札があった。地方自治体が運用している既存の業務システムを、国の機関や他自治体が保有する住民個人情報と連携させるために必要なシステムであり、総務省がソフトを開発して自治体に配布することになっている。落札したのはNTTコムウェアで、落札額の9億8470万円(税別)は、競合した他2社と1億5000万円以上の開きがあった。

 10月30日には、法務省が「登記情報システム」に関してマイナンバー制度の導入に伴う機能開発業務の入札を公示し、12月24日の開札を予定している。そして2014年初めには、いよいよマイナンバー制度の中核システムの本調達が公示される。

 内閣官房は、中核システムである「情報提供ネットワークシステム等(コアシステム、インタフェースシステム、監視・監督システム)」「情報提供等記録開示システム(マイ・ポータル)」と、特定個人情報保護委員会のための「情報保護評価書受付システム」について、工程管理支援業務の仕様書案への意見招請を11月5日に公示した。

 各システムの設計・開発業務のための調達仕様書案も、まもなく意見招請が始まるはず。集まった意見を基に調達仕様書案を修正する作業は、2014年1月中旬に完了する計画になっていることから、早ければ同月中にもシステム本調達の入札が公示される見通しだ。

総務省は2015年末改修完了のスケジュールを提示

 このように、国によるシステム本調達の手続きが続々と始まる一方で、マイナンバー制度の運用の最前線となる地方自治体でのシステム改修は、まだこれからと言っていい。一部の先進的な自治体は検討に着手しているものの、国のシステム調達仕様書が公表され始めたことで、ようやく自治体側でのシステム改修のための正規の要件が明らかになってきたという状況なのだ。

 情報提供ネットワークシステムを介した住民情報の連携に自治体が参加するのは、国の機関よりも半年遅れの2017年7月からになる。総務省は自治体に対し、システム改修のスケジュールを「導入ガイドライン」として8月に提示した。それによると、最初に各自治体内でのシステム連携テストに半年、続いて情報提供ネットワークシステムとの連携・総合運用テストに1年、合計1年半をテスト期間に充てる前提となっている。