日本マイクロソフトが2013年9月、「山形県が業務の効率化に貢献するソフトウェアとしてMicrosoft Officeを再評価、2014年度中に全庁的に導入」すると発表した。山形県は2011年からオープンソースのオフィスソフトOpenOffice.orgを全庁の標準ソフトと位置づけ、約5600台のパソコンに導入していた。実際はどうだったのか。山形県企画振興部情報企画課に聞いた。その結果判明したのは「山形県はOpenOffice.orgからMicrosoft Officeに逆戻りするのではない」ということだった。

標準ソフトはOpenOffice.org、Microsoft Officeは必要に応じ導入

 まず、山形県はすべてのパソコンにMicrosoft Officeを再導入するわけではない。2014年度の予算としては約5000万円、全パソコンの3分の1にあたる約1400台ぶんのMicrosoft Officeのライセンス料金を見込んでおり、必要に応じて導入していくという。日本マイクロソフトの発表にあった「全庁的に導入」という表現は「必要な職員には行き渡るようにするという意味」(山形県 企画振興部情報企画課)だったという。

 全庁の標準ソフトというOpenOffice.orgの位置付けは「変わっていない」(山形県 企画振興部情報企画課)とする。「OpenOffice.orgは標準ソフトであり、Microsoft Officeは必要に応じて導入していく」(同)という位置付けだ。

 もともと山形県はMicrosoft Officeを排除してしまったわけではない。Microsoft Officeを必要とする職員にはMicrosoft Officeをインストールさせており、各所属に1台ずつ配置している共用PCにMicrosoft Officeの環境も残してあった。OpenOffice.orgから逆戻りするのではなく、Microsoft Officeの数が拡大したというのが実際のところだ。

 Microsoft Officeを併用しているのは、他のOpenOffice.orgやLibreOffice導入自治体も同じだ。いずれの自治体も外部とのやりとりなどのためにMicrosoft Officeを一部に残している。OpenOffice.org導入の先駆けとなった会津若松市では、約15%のパソコンにMicrosoft Officeがある。