予めお断りしておくが、今回の一文には片仮名表記が多い。マネジメントの話だからである。管理と訳しても経営と訳しても座りが悪いので、片仮名表記のままにする。

 ただしマネジメントの定義は必要である。色々なとらえ方があろうが「人を活かして成果を挙げること」にする。成果は出たものの、担当者は疲れてしまい成長できなかった。失敗したが、その一件を反面教師に人は育った。いずれもマネジメントされたとは言い難い。

 人を活かして成果を挙げるためには人と人が協力する必要があり、それには情報が欠かせない。マネジメントに、見える化とか情報共有がついて回るのはそのためだ。

 しかし情報が欠かせないとはいえ、情報システムやIT(情報技術)の分野でマネジメントと言う言葉は使われ過ぎである。以前書いた気がしてきたので手短にするが、サプライチェーンマネジメントやカスタマーリレーションシップマネジメントあるいはヒューマンキャピタルマネジメントなど沢山ある。

 これらは業務処理の一例だが、それ以外にもITサービスマネジメントやデータセンターインフラストラクチャーマネジメント、もっと広げるとプロジェクトマネジメント、プログラムマネジメント、プロダクトマネジメント、パフォーマンスマネジメントなどいくらでもある。

 題名に記した通り、今回言及したいのは上記のマネジメント(手法やツール)を売り歩く人が、自分自身をマネジメントできているのかどうかである。「人」と書いたが、一人で活動していることは少ないから「企業」の話にして先へ進める。

「儲かっていますか?」

 マネジメントを売り歩く企業とは、コンピュータメーカー、ソフトメーカー、コンサルティングファーム、システムインテグレータなど、いわゆるベンダーを指す。さらにユーザーと称される、企業や団体の情報システム部門、情報システム子会社も含む。少なくとも筆者は違うと言いたいが、メディアも入れざるを得ない。

 「我々は買い手であって売り歩く人ではない」と情報システム部門の方々はむっとされたかもしれない。だが、企業や団体の利用部門からすると、情報システム部門は理解しにくい片仮名を操るベンダーに見える時がある。

 以上の「マネジメントを売り歩く人(企業)」が紺屋の白袴かどうかを判断する尺度として、「金(カネ)」を選ぶことにする。

 マネジメントされていれば、企業として何らかの成果を出し人が育ち結果として一定の利益を継続して出せる。利益だけを追求し社員をないがしろにする企業が仮にあったとすると、社員が離反したりやる気を無くすから結果として利益が出せなくなる。

 情報システム部門の場合、プロフィットセンターではないかもしれないが予算はある。事前に決めた予算の範囲を守って成果を挙げる情報システム部門は、自らをマネジメントできている。開発に失敗するなどして追加の予算を申請するシステム部門は、マネジメントができていない。

 それではコンピュータメーカー、ソフトメーカー、コンサルティングファーム、システムインテグレータは、安定した利益を出せているだろうか。情報システム部門や情報システム子会社は、予算を毎年守っているだろうか。それぞれの企業や組織に所属している読者の皆様は、考えてみてほしい。筆者は、自分が所属している出版社やメディア業界のことを考える。