人育てには、もってこいの環境だな---。こんな感想を抱きながら、話題を集めたNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」を観ていた。

 何しろこのドラマは、人がわさわさ出てくるシーンが多い。年齢も職業も異なる様々な人が集まり、時に深刻な話をしたりバカ騒ぎをしていたりする。こうした「賑やかさ」の中で揉まれながら、主人公は何かをつかんだり、他の人に影響を与えたりしながら成長していく。

職場の一人ひとりの意識が「人育て」の場を作る

 「賑やかな職場」は、人を育てる環境になる。人材教育コンサルタントの田中淳子氏がITproに連載した「若手育成ワンポイントレッスン」にそんな話が出てくる。

 電話のやりとりがおかしいと思えば、すぐさま近くにいる先輩が注意する。間違ったことをすると、すぐ周囲の誰かが叱る。わからないことがあれば、周囲の誰かに聞けば、親切に(そして厳しく)教えてくれる。このように、誰もが「よってたかって」新入社員である私を気にかけ、導いてくれました。
(『「アナログ回帰」のススメ』より)

 もちろん、今のご時世では職場を賑やかにしようと思っても、簡単にできるわけではない。「余計なことをしないで、仕事に集中しろ」と叱られてしまうかもしれない。それでも職場の一人ひとりがちょっと意識したり、普段の行動を見直したりするだけでも、若手の育成に役立つこともある。ここで言う若手は「自分の後輩や部下となる35歳以下の社員」くらいに考えてほしい。

 あなたは「人育て上手」だろうか? 以下の23項目のうち、自分に当てはまるものがどのくらいあるかを試しに確認してみてほしい。

1.若手がミスしたら、「それをやってはダメだ」などと、まず叱ったり諭したりする
2.若手のやったことや言ったことに対して、上司や先輩の立場から若手にフィードバックすることはない
3.自分の知識やスキルを若手に教えることは「自分の仕事ではない」と思う
4.若手に「自分の背中を見られている」という自覚は特にない
5.若手から質問されたら、「自分で考えろ!」と言ってしまうことがある
6.若手に質問するとき、自分の頭の中で「回答」を想定している
7.若手に「自分の仕事を説明する」機会を設けたことはない
8.会社全体に「若手をみんなで育てていこう」という雰囲気がなくても特に気にしない
9.自分を含め、周囲の先輩が若手の行動にほとんど注意を払わない
10.「自分が若い頃は誰も教えてくれなかった。今の若手に対しても、特にこちらから教えたり育てたりする必要はない」と感じている
11.会社が被るコストや顧客への迷惑、社会的影響を考えると、若手に「失敗させる」余裕はないと思う
12.仕事以外の会話を若手とかわすのは、つい遠慮しがちだ
13.「若手を早く組織になじませなくては」と意識することはほとんどない
14.若手を褒めた経験は滅多にない
15.若手に仕事を頼むときに、目的を説明せずに「とにかくやってほしい」と言うことがある
16.若手が同じ質問をしてくると、「一度教えたじゃないか」 と冷たい態度を取ってしまうことがある
17.若手が質問しやすい雰囲気を作りだすよう、意識したことはない
18.質問された時に「そのことは気にしなくていいから」と言ってしまうことがある
19.若手を「社外の人に引き合わせる」ように行動したことはない
20.「会社にOJT制度があるのだから、若手の育成は基本的にOJT担当者に任せたほうがよい」と考えている
21.自分にとって、若手を育てるメリットはあまりないと感じる
22.自分の仕事に対する思いや考えを若手に伝えたことはない
23.自分が残したものを受け継ぐ人を育てたい、と考えたことはない