NECがIaaS市場に本格的に乗り出す。2014年4月の新サービスの提供開始に向けて、クラウド専用のデータセンター(DC)を建設するとともに、専用サーバーを開発する。同時にIaaSを活用するサービスプロバイダやSaaSベンダーとの協業体制を整える。

 IaaS事業は13年度は約150億円を見込むが、17年度に約430億円の売り上げを狙う。ホスティングやSIなど周辺ビジネスを加えると、17年度に約1200億円の規模を目指す壮大な計画だ。事業を推進する中江靖之執行役員は「目標は必ず達成する」と意気込む。

 NECは約5年前にIaaS市場に参入した。海外向けサービスも提供したものの、国内外で大きなシェアを獲得できなかったようだ。従来型IaaSの「RIACUBE」は、ITインフラの環境設定をユーザー側でできなかったことに加えて、安価な料金ではなかった。販売パートナーとの協業にも課題があり、IaaSより業種別SaaSの品ぞろえに力を注いでいたようにもみえた。

 だが成長するクラウド関連の需要を取り込まなければ、ITサービス事業もITプラットフォーム事業も伸ばせない状況になっている。黙っていたら、アマゾンWebサービス(AWS)など海外クラウド事業者に顧客を奪われる可能性もある。そこでNECは5年間で約300億円を投資し、新しいIaaSとクラウド専用DCの建設を決断したのだろう。

 来年4月に提供開始する新しいIaaSは二つある。一つは「RIACUBE」の後継IaaSで、環境設定など運用ポータルの機能などを追加したもの。もう一つは月額6700円(最小構成が1vCPU、4GBメモリー、100GBシステムディスク)からという、AWSと戦える料金設定にしたIaaSだ。中江執行役員は「国内トップクラスの低価格」と力説する。