Windows XPのサポート終了を2014年4月に控えて、現在XPを利用中の企業は、Windows 7や8に移行するのか、セキュリティ修正プログラムが提供されない状況でXPを継続利用するのか、選択を迫まられている。新しいOSに移行すれば、Windows XP上で使う業務アプリが起動しない、Office 2003およびその上で使うマクロが使えない、といった問題が生じる恐れがある(関連記事:XPサポート終了直前対策)。

 一方、使い続ければ、サポート終了以降にセキュリティの脆弱性が見つかっても修正されないため、悪意を持つ第三者からの攻撃を受ける可能性が飛躍的に高まる。セキュリティ修正プログラムが提供される現在でも、Windows XPのコンピュータウイルスの感染率は、Windows 7や8と比べて格段に高い。これは単に脆弱性の有無だけでなく、OSが持つセキュリティ機能が新しいものほど豊富になっていて、攻撃されにくくなっているせいだ(関連記事:XPサポート終了後に脆弱性が見つかったらどうなるか?)。

 とはいえ、使い続けなければいけない事情を持つ企業も多い。そこで、Windows XPを“延命”する製品やサービスがサードパーティーやインテグレーターから多数提供されている。まず複数のウイルス対策ソフトベンダーは、2014年4月以降のウイルス対策ソフトのサポートを表明した。例えばシマンテックは2018年まで、トレンドマイクロは2017年まで、企業向け製品でWindows XPをサポートする。

 一部のインテグレーターは、組み込み機器向けのWindowsを使って延命を図る。組み込み機器向けのWindowsとは、「Embedded」と名前が付くOSのこと。2019年までセキュリティ修正プログラムが提供される「Windows Embedded Standard 2009」は、OSの機能としてはWindows XP Service Pack 3相当であり、XP上で使っていたアプリを手を加えることなくそのまま使える。これを利用して延命を行うのだ(関連記事:本命までの「つなぎ」に、XP互換のOSを活用)。

Windows 8.1ではSMB1.0がオプションに

 では、Windows XPパソコンを企業ネットワークに接続して、システムとして問題は起こらないのだろうか。Windows XPは、ほとんどの企業ネットワークで使われるTCP/IPネットワークをサポートしている。なので、TCP/IPネットワークを使って社内向けのWebサイトやインターネットのWebサイトを閲覧するのに問題はない。しかしWindowsネットワークの独自機能を活用している企業では、問題が発生する恐れがある。

 Windowsネットワークは、複数のWindowsパソコンを接続したネットワークシステムで、ファイルやプリンターを共有するための仕組みだ。企業に限らず、ブロードバンドルーターを使って構築された家庭内LANで、新しく接続したパソコンが既存のパソコンとファイルやプリンターを手軽に共有できるようになるのは、このWindowsネットワークのおかげだ。

 このWindowsネットワークの機能は様々なプロトコルを使って提供されるが、その中心となるプロトコルが「SMB」である。このSMBの、SMB/CIFS(SMB 1.0)と呼ばれるバージョンが今月から提供されるWindows 8.1とWindows Server 2012 R2でオプションになる。SMB 1.0は、Windows XPで標準的に使われるSMBのバージョンだ。このため、Windows XPと最新Windowsとの組み合わせでは、ファイルやプリンターの共有ができなくなる可能性がある。