「日経ソフトウエアらしくない」。

 やはり言われてしまいました。先日、発売された日経ソフトウエア2013年10月号で「プログラミングでお金を生み出す技52」という特集を私と安藤記者で担当しました。約6年ぶりに他部署から日経ソフトウエア編集部に帰ってきて、私が最初に企画した特集です。タイトルに「お金」と付くとどうしても下品な印象になってしまうのは仕方ないですね。

 最初は、「お金を生み出すプログラミング」というのはタイトルだけで、実際には普通のスマホアプリやWebアプリの開発を解説する特集を考えていました。でも「それじゃダメ」と編集長からダメ出しを食らってしまいました。「実際にプログラミングでお金を生み出す方法を片っ端から並べてほしい。できれば50個くらい」。かなりの無茶振りです。

 最初はせいぜい10個、20個くらいしか出てこなくて苦労しました。でも考えているうちに、大きく三つのテーマがあることに気づきました。まず「アプリの課金や広告」。スマホはiPhoneとAndroidに分かれ、広告と課金にも分かれます。さらに課金にはアイテム型と購読型があります。これらの組み合わせでかなり数が稼げます。

 次が「プログラムそのものを売る方法」、つまりマーケットプレイスです。最初は米Appleの「App Store」と米Googleの「Google Play」くらいしか思いつかなかったのですが、調べてみると意外にたくさんありました。この特集では九つのマーケットプレイスを紹介しています。

 そして「プログラミングによる自動取引」。この特集に関して調べるまで知らなかったのですが、FX取引では「MetaTrader」というソフトがデファクトスタンダードになっているそうです。MetaTraderでは、C言語に似た言語でプログラムを書いて自動売買を行うこともできます。「これだ」と思いました。

 ただFX取引では「強制ロスカットで数百万円が溶けた」といった怖い話もよく聞きます。いい加減なことは書けません。そこで、MetaTraderのプログラミングに関する書籍の執筆経験があり、実際のFX取引も行っている大学教授の方に、「FXとは何か」というところから解説していただきました。

 実際には、特集の最後のほうには「コミックマーケットで同人誌を売る」とか「できるフリープログラマになる」とか「それってアリなの?」と言いたくなる項目もあります。これについては「がんばって集めたんだね」と大目に見てもらえるとありがたいです。

「儲ける」ではなく「お金を生み出す」

 この特集タイトルを見て「日経ソフトウエアもついに金儲けの話をするようになったか」と思った方もいるかもしれません。でも、それには反論させてください。タイトルは「お金を儲ける」や「お金を稼ぐ」ではなく、あくまで「お金を生み出す」です。私としては、この点に企画当初からこだわっています(編集長には表紙に「プログラムで小金大金儲ける方法教えます!」と入れられてしまいましたが…)。