「SI企業は絶滅危惧種ってホント」。最近あった、大手IT企業の講演テーマだ。「絶滅危惧種」とはかなり誇張した表現かもしれないが、このままでは本当に絶滅の危機に瀕するかもしれない、と感じるのは筆者だけではないだろう。

 講演したユニアデックスの戦略マーケティング部マーケティング二室エヴァンジェリストの高橋優亮氏は、「SIは1人でもできる時代になった」と主張していた。背景には価格も含めた受注競争の激化がある。クラウドサービスの高度化で、誰でもITインフラ環境を調達でき、SIを請け負える時代になったからだ。

 多くのユーザー企業がIT予算を抑制しながら、投資対効果も強く求めている。そんな要求に応えるため、クラウドサービスへの期待は高まる一方で、高性能なハードやソフトを安価に調達できる環境にもなってきた。他社に負けない技術力や業務ノウハウなどを備えるSI企業なら、「必要あり」と判断されるかもしれない。しかし他社と同じようなサービスを提供するSI企業なら「必要なし」とされ、ユーザー企業のIT部門に役割が移るだけだろう。

 SI企業は今後、2種類に分かれると高橋氏は予想している。「オーダーメイド型商品を作り込むSI企業」と「コモディティ商品を組み合わせて提供するSI企業」である。

 オーダーメイド型商品の代表例は、金融機関の勘定系システムといえる。極めて高い技術力と動員力を求められるこうしたプロジェクトは縮小傾向にあるが、需要は絶対になくならない。実際、メガバンクのシステム更新による需要増とともに、今年に入って「SEが足りない」という声を聞くようなった。