「米ゼネラル・エレクトリック(GE)の強さの秘訣は」という質問に、読者の皆さんは何と答えるだろう。「ナインブロック」や「セッションC」に代表される人事システムと答える方もいれば、「シックスシグマ」や「ワークアウト」という課題解決手法を挙げる方もいるだろう。皆さんの職歴や興味によって、答えは分かれると思う。

 どれもGEの強さを支えているのは間違いないが、見過ごされがちなものが1つある。それはIT(情報技術)だ。

 日経情報ストラテジーは2013年8月号で、「データサイエンティストも育つ最強手法 GE流で伸ばす」という特集を組んだ。その取材を進めるなかで浮かび上がったのが、GE流ITの強さだ。2005年から2007年まで日本GEのトップを務めた伊藤伸彦氏も「もともとGEの強さはITにある」と語る。

 タレントマネジメントシステムが好例だ。GEは巨費を投じて、グローバルで優秀な人材を発掘し、将来のリーダー候補を管理・育成するシステムを整備している。GEといえば、抜てき人事や派手なM&A(合併・買収)に目がいきがちだが、その裏には先進的な情報システムがある。

 最近では「アナリティクス(データ分析)」にも力を入れている。GEのジェフ・イメルト会長兼CEO(最高経営責任者)は2013年3月の株主向けレターで、「ソフトウエアとアナリティクスを強化する」方針を打ち出している(関連記事:「データ分析とソフトウエアの会社になります」~ジェフ・イメルト氏・米GE 会長兼CEO)。

 例えば、ジェットエンジンやガスタービンからネット経由で収集したデータを管理・分析し、生産性を高めたり、無駄や停止時間を減らしたりする。そのために、米アマゾン・ウェブ・サービスのクラウドを活用することも明らかにしている(関連記事:米GEがクラウドで産業用機器を管理・分析、アマゾンのサービスを活用)。