写真●NEC本社の多目的ホールで行った「ICTイノベーションセミナー」
写真●NEC本社の多目的ホールで行った「ICTイノベーションセミナー」
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 5月31日、例年この時期に開催している「ICTイノベーションセミナー」をNEC本社の多目的ホールで行った(写真)。今年のテーマは「クラウド、ビッグデータ時代の企業ネットワーク」、副題が「LTE人口カバー率100%目前、SDN/OpenFlow離陸!」である。会場定員ぎりぎりの200人を超える方に参加いただいた。

 アンケートによると、皆さんの関心が高い事柄のベスト3は「OpenFlow」「LTEルータ」「脱・Cisco」だった。

 さて、本題に入ろう。「ユニファイドコミュニケーション」(以下、UC)という名称は2004年にNECによって商標登録されている。登録前から使われているので10年以上の歴史があることになる。この間、多くの通信機器ベンダーがUCに力を入れたが鳴かず飛ばずという状態が続いている。2012年に日経コミュニケーションが3000社以上を対象に実施した企業ネット/ICT利活用実態調査(有効回答は746社)でも、今後重視するICT関連投資としてUCを選択した企業はわずか2.7%にすぎなかった。

 UCの発想は悪くないのにこれほど不人気なのはなぜだろう。しかし、実はUCはもう充分に普及している。企業での活用が遅れているだけなのだ。

なぜ、売れなかったのか

 これまで企業にUCが売れなかった理由は簡単だ。高いだけで明確なメリットがなかったからである。UCはIP電話とセットで提案されてきた。電話、メール、IM(Instant Messaging)などを統合し、場合に応じて最適な手段を提供することで効率化や生産性向上を図るのがUCの目的だ。IP電話自体が高価なうえにUCを加えるとさらに高くなる。

 目玉の一つがプレゼンス(在席情報)だった。相手の状態を見て電話をかけるか、メールを出すか、IMにするか決めるのだ。リアルタイムで正確なプレゼンス情報を保持することは大変なことである。ユーザー数が多いとサーバーの負荷は膨大になる。こんなまどろっこしくて高いものが使われるわけがない。