将棋ソフトとプロ棋士が対局する第2回電王戦で注目を浴びた将棋ソフト「GPS将棋」。約680台のPCクラスタ構成でA級棋士から勝利を得たことから、ややもすると縁遠い存在に見える。だが最小構成の将棋サーバーに仕立てるだけなら、5分もあれば十分だ。
日経Linux 2013年7月号では、5分程度で構築できるサーバーを紹介した。サーバーを遠い存在に感じているLinuxユーザーが一歩踏み出したくなるようなソフトやシステムを30種類集める一方で、すぐに動かせる導入の簡便さを重視した。中でもGPS将棋は、パッケージで本体部分が導入できるうえ、Rubyの対局サーバーと制御スクリプトを組み合わせるだけで将棋サーバーに仕立てられる、格好の入り口だ。
Linuxが動作するサーバーで手軽に始められるのが、米Amazon Web Services社のIaaS「Amazon EC2」だ。EC2なら、仮想16コアCPUのマシンを1時間単位の従量課金で利用できる。Linuxサーバーだけなら様々なホスティングサービスが存在するが、スケーラビリティの面で一日の長がある。EC2インスタンスの立ち上げ手順などを参考にLinuxサーバー環境を用意する。
ソフトウエアとしては、OSに「Ubuntu」、将棋ソフトに「GPS将棋」および「将棋所」、対局サーバーに「shogi-server」を使う。将棋所はGUIを持つ将棋ソフト。将棋所を人間が指し、対局サーバーを通じてGPS将棋と対戦する。いずれの導入も「端末」ソフトによるコマンドラインインタフェースでの作業が中心だ。
対局サーバーを用意
まず、対局サーバーの「shogi-server」を用意する。将棋ソフト同士の対局を管理するサーバーソフトだ。ソースコードはリポジトリー管理ツール「git」を使ってダウンロードする。gitは次のコマンドで導入できる。
$ sudo apt-get install ruby git

続いて、gitコマンドでソースコードをダウンロードする。
$ git clone git://git.sourceforge.jp/gitroot/shogi-server/shogi-server.git

ダウンロードしたshogi-serverは、Rubyで記述されたプログラムだ。次のコマンドで実行する。
$ cd shogi-server
$ ruby shogi-server test 4081

これで対局サーバーの準備は完了だ。起動すると、TCPのポート4081番で将棋ソフトからの接続を待つ状態になる。Amazon EC2を利用する場合は、EC2の管理画面にある「Security Groups」でTCPのポート4081番を開放しておく。
GPS将棋をインストール
GPS将棋は、Ubuntuのパッケージとして簡単にインストールできる。端末で次のように入力してインストールする。
$ sudo apt-get install gpsshogi

Ubuntuをデスクトップ環境付きで利用しているなら、Ubuntuのアプリマーケットである「Ubuntuソフトウェアセンター」で「gpsshogi」と検索して導入する。