今年のゴールデンウイークも例年通り愛媛の実家に帰り、小旅行をした。行き先は松山である。しょっちゅう来ている松山だが、初めての場所もいくつか訪ねた。その一つが「坊ちゃん劇場」だ。愛媛、四国、瀬戸内の歴史や文化をテーマとしたミュージカルを通年で上演している。東京でのオーデションで選ばれた13人の俳優が、一つのミュージカルを4月から翌年3月まで週1日の休みを除いて連日演じる。8年目となる今年の演目は、「奇想天外歌舞音曲劇『げんない』」である。そんなに期待していなかったのだが、演技も歌も素晴らしかった。
たまたま、5月18日の日経新聞夕刊で坊ちゃん劇場がかなり大きく紹介されていた。今では地元四国だけでなく、首都圏や関西、九州から来る人も多いらしい。松山に行くなら道後温泉、子規記念博物館、秋山兄弟生誕地(司馬遼太郎著「坂の上の雲」に登場する日露戦争で活躍した兄弟)、そして坊ちゃん劇場をお勧めしたい。
さて、本論に入ろう。2011年3月に世界で初めてOpenFlow対応の製品(NECのUNIVERGE PFシリーズ)が登場して2年がたった。OpenFlowは既に「試行」の段階を過ぎ、銀行の基幹系システムの基盤や大規模なプライベート・クラウド基盤としての導入が増えている。
設計の現場(筆者が属するNECの現場)における「使いこなし」が進み、さらにはOpenFlowの適用領域を広げる新しい使い方も見いだされている。今回は離陸し始めたOpenFlowの現状について述べる。
ラダー型・メッシュ型、そしてスター型
事例が増えるにつれ、OpenFlowのユーザーメリットも鮮明になった。柔軟性の向上と経済性の向上、見える化の3点である。仮想システムの追加に必要なネットワークの構成を、物理的な作業なしに素早くできる。キャパシティー増強のためのフロースイッチの追加も、稼働中のネットワークを停止することなく容易にできる。大型スイッチが不要、ファイアウォールなどの機器点数を削減可能、複数の物理的ネットワークを統合可能などにより、経済効果を得やすい。何が流れているか、だけでなく「どう流れているか」を見える化できるため障害時の解析がしやすい。
OpenFlowの設計は、論理設計と物理設計に分けて行う。物理的なトポロジーはラダー型が推奨である。小型のフロースイッチを4台、長方形に配置し四辺にリンクを張る。スイッチを追加するときは2台ずつ、横に拡張し「はしご状」にする。拡張のしやすさと冗長性のバランスがいいこと、機器コストが抑えられることが推奨する理由だ。
しかし、設計の現場では信頼性を重視してメッシュ構成を採用したり、従来のスイッチと同様、大容量のフロースイッチを核にしてスター構成を使っている例もある。それぞれの設計者が「型」にはまらず、システム要件に最適な構成設計をしているのだ。