この連載では、「ダメに見せない説明術」を扱っている。前回は、九つ目のダメ説明である「思想がない、考えがない、自分がない」をテーマに取り上げた。10のダメ説明は以下の通りである。

「10のダメ説明」

  1. 長い、細かい、テンポ悪すぎ
  2. 論点不明、主旨不明、結論なし
  3. 抽象的、具体的でない、表面的
  4. 理由がない、何故?が満載、説明が不足
  5. 独りよがり、自分視点、自己中心
  6. 遅い、ぎりぎり、時間なし
  7. 理解が浅い、内容が陳腐、質問されると沈黙
  8. 先を読まない、場当たり的、その場しのぎ
  9. 思想がない、考えがない、自分がない
  10. 反論する、否定する、対立する

 前回は、「思想がない、考えがない、自分がない」人がどのように問題なのか…、特にそれが上司、上長といった管理職やリーダー人材の場合には組織が壊れる可能性を孕(はら)むことを説明した。

 そして、会社の経営層は、このような「組織を壊すリスクの内在する人」を早期に発見する必要があること、発見するためには、筆者が考えた「自分がある人と自分がない人の八つの違い」が参考になると説明した。

自分がある人と自分がない人の八つの違い

  1. 自分がある人は、目標を持ち、自分にテーマを課す。
    自分がない人は目標感がなく、自分にテーマを課せない。
  2. 自分がある人は、意見・主張を持つ。
    自分がない人は意見・主張がないか、独りよがりである。
  3. 自分がある人は、説得力がある理由を持つ。
    自分がない人は理由がないか、あっても説得力がない。
  4. 自分がある人は、主体的に行動し体験する。
    自分がない人は受け身であり、自ら体験しない。
  5. 自分がある人は、手を挙げて積極的に前に出る。
    自分がない人は、指名されても、前に出るのを嫌がる。
  6. 自分がある人はアンテナを張り、触発されたものに興味を持つ。
    自分がない人は触発されず、興味なく、無感動で怠惰。
  7. 自分がある人は常に批判的に見て考える。
    自分がない人は批判的に見ず、疑問を持たず、鵜呑みにする。
  8. 自分がある人は、理解するため何回でも根気よく繰り返す。
    自分がない人は理解せず、繰り返さず、その場限りですぐ忘れる。

 この違いは大きく、確実に「本人の実務遂行力」「本人の成長」「本人と他人(部下など)との関係」に大きな影響を与える。今回も引き続き、「思想がない、考えがない、自分がない」をテーマとする。