現在、芦屋広太氏と佐藤治夫氏の特別対談を掲載中です。
■芦屋×佐藤“システム屋”対談
第3回 部下の成長につながる私の
「叱り方」
この連載では、「ダメに見せない説明術」を扱っている。前回は、八つ目目のダメ説明である「先を読まない、場当たり的、その場しのぎ」をテーマに取り上げた。10のダメ説明は以下の通りである。
「10のダメ説明」
- 長い、細かい、テンポ悪すぎ
- 論点不明、主旨不明、結論なし
- 抽象的、具体的でない、表面的
- 理由がない、何故?が満載、説明が不足
- 独りよがり、自分視点、自己中心
- 遅い、ぎりぎり、時間なし
- 理解が浅い、内容が陳腐、質問されると沈黙
- 先を読まない、場当たり的、その場しのぎ
- 思想がない、考えがない、自分がない
- 反論する、否定する、対立する
前回は、「先を読まない、場当たり的、その場しのぎ」は、「なぜダメか」について説明した。仕事は「時間という有限の資源」を使って遂行する。この「仕事の遂行」における制約条件をコントロールすること、「タイムマネジメント」が重要かつ厄介なのだ。
「時間」が業務遂行上の制約条件になる以上、「先を読みながら効率的に時間を使う人」と「場当たり的に時間を使って最後に打つ手がなくなる人」の違いは大きい。時間制約条件が厳しいほど成果に差が出る。これを肝に銘じる必要があるのだ。
前回、詳しく説明したが、筆者が非常に大事にしている格言がある。
「いま見えている事象、いま知っていること、いまの自分の判断、それだけで判断するのは禁物である。いま見えていない事象を見る力、いま知らないことを知る力、将来の自分の判断を推測する力を持たなければならない」
筆者は現在、企業の情システム部門で、IT企画、業務改善、プロジェクトマネジメントの仕事を行っているが、この格言は非常に役に立つ。「将来の自分の判断を推測」できると企画は具体的になり、実行計画は詳細化し、リスクが多く洗い出せるようになるからだ。
このような「先読み思考」が役に立つと考えているのは筆者だけではないだろう。前回の記事には多くのコメントをいただいたが、その中では「先読みは重要」「先を読むのは当たり前」といった意見が多かった。読者の多くも同じように考えているのだ。
前置きが長くなったが、今回も前回同様、「先を読まない、場当たり的、その場しのぎ」をテーマとする。