2013年4月13日の土曜日にJR京都駅前のキャンパスプラザ京都で情報化研究会の「第14回京都研究会」を開催した。地元関西だけでなく、東京、名古屋、松江から34人が参加した(写真1)。すばらしい好天に恵まれたのだが、午前5時半頃、淡路島で震度6弱の地震があった。東海道新幹線は上りに遅れが出ていたものの、下りは平常どおりだった。

写真1●第14回京都研究会の参加者
写真1●第14回京都研究会の参加者
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 新幹線で京都に向かった人は会場が駅の目の前なので問題なかったが、大阪や奈良から参加した人はローカルの鉄道が長時間止まったため苦労した。電車で来て遅刻した人や電車を見切ってクルマでかけつけた人がかなりいた。結果的には申し込んだ34人全員が出席した。研究会を始めた午後1時以降、京都では体に感じる余震はなくふつうに過ごすことができたのは幸いだった。

 研究会のテーマは「企業ネットワークとビッグデータ」である。筆者とIPテレフォニーのベンチャー企業であるageetの岡崎昌人さんは企業ネットワークについて講演し、東京大学先端科学技術研究センター特任教授・稲田修一さんにビッグデータについて講演していただくので、このテーマにした。「と」というのは2つの間に関係があるというよりも、独立した2つの話があるという意味だ。

 しかし、直接的な関係は少ないがクラウドやビッグデータの発想は企業ネットワークでも役に立つ。それは「豊かさを生かす」ということである。

15年前のクラウド

 豊かさとはIT資源が安く、豊富に手に入ることを言う。クラウドやビッグデータが成立した大きな要因の1つはネットワーク、CPU、メモリー、ハードディスクといったIT資源がかつてなく高性能で安価になり、ふんだんに利用できるようになったことである。

 とりわけネットワーク資源の低価格・広帯域化は早くからITに革新をもたらした。筆者は1998年に、47都道府県にサーバーを分散配置して128kビット/秒の回線でデータセンターに接続していたネットワークを、回線を2Mビット/秒とし、サーバーはすべてデータセンターに集中設置する構成で再構築した。サーバーの台数は従前の3分の1となり、各地のサーバー設置スペースが要らなくなったためシステム全体の費用が大幅に削減された。割安になったネットワーク資源を潤沢に使うことでサーバーやスペース、電力などを削減したのだ。今でいうプライベートクラウドである。