社会保障と税に関わる共通番号制度、いわゆるマイナンバー制度の導入に向けて、政府の準備が加速してきた。

 マイナンバー制度を規定する「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(番号法案)」と関係法律の整備法案は、関連する政府CIO法案、地方公共団体情報システム機構法案とともに2013年3月1日に閣議決定され、国会に提出された。

 3月22日には衆議院本会議で趣旨説明を行い、安倍晋三首相や甘利明社会保障・税一体改革担当大臣が与野党議員からの質問に答えた。付託を受けた内閣委員会では、これまでに3月27日と4月11日の会議で政府参考人を交えて与野党議員からの質問に対する説明を実施した。説明聴取はさらに続く可能性があるが、政府・与党は5月の連休前後にも衆議院で採決する意向のようだ。

 法案は自公政権による内閣立法とはいえ、民主党政権時代の2012年2月に国会に提出された旧法案を基に、自公民3党が協議してきた修正内容を盛り込んだものである。衆参両院とも3党で議席の過半を占めていることから、採決までこぎ着ければ成立は確実な情勢である。

 法案の国会審議と並行して、制度を所管する内閣官房の社会保障改革担当室を中心に実務面での取り組みもピッチが上がってきた。法案の国会提出と同じ3月1日には、システム調達作業の支援を求める2件の調達案件を公告。3月21日には、都道府県と政令指定都市の担当課長向けに説明会を開催し、制度導入に向けて自治体での準備を要請した。

 これら2件の調達公告と説明会から、マイナンバー制度のための政府システム調達に関するスケジュールなどが浮かび上がってきた。政府の国会答弁や2013年度予算案も併せて、システム調達に関するスケジュールや予算規模を推測してみる。

中核システムの本調達公告は11月15日?

 まず、マイナンバー制度の中核システムとして行政機関や自治体の間で住民の個人情報を連携させる「情報提供ネットワークシステム」は、以下のような調達スケジュールになる見通しである。

  • 本調達の公告:11月15日ころ
  • 提案書の受け付け期限:2014年1月14日ころ
  • 落札事業者の決定:2014年2月半ばころ

 システムの本稼働は、2016年1月のマイナンバー利用開始から1年後の2017年1月の予定である。事業者の決定から本稼働まで3年弱の大型開発プロジェクトとなる。

 一方、住民が自身の情報が行政機関にどのように利用されているかを確認するための仕組みである「マイ・ポータル」は、全体のスケジュールを2カ月ほど後ろにずらして進める。

  • 本調達の公告:2014年1月下旬
  • 提案書の受け付け期限:2014年3月24日ころ
  • 落札事業者の決定:2014年4月半ばころ

 システムの本稼働の時期は、情報提供ネットワークシステムと同じ2017年1月を予定している。

 調達に関する一連のスケジュールは、3月1日に公告されたマイナンバー関連システムの調達手続きに関する支援業務案件の作業スケジュールなどを基に推測した。同案件は、情報提供ネットワークシステムやマイ・ポータルの調達仕様書(要件定義書)の作成を支援する事業者を公募するもので、5月14日に落札事業者が決まる。この支援業務案件を受託した事業者やその関連会社は、システムの本調達には参加できないことになっている。