のっけから告知で申し訳ないが、日経NETWORKでは現在、恒例の「ネットワークの実態調査 2013」を、2013年5月6日(月)23時59分までの予定で実施している。業務のために運用されているネットワークの管理や運用、構築に、直接、あるいは間接的に携わっている方にご協力いただき、2013年現在のネットワークの現状や課題、運用の状況などをお伺いするものだ。

 この調査は日経NETWORKが創刊した2000年から質問項目を少しずつ変えながら、かれこれ10年以上継続している。日経NETWORKの読者層を反映してか、1人企業や中小企業から、大企業やIT事業者レベルまで幅広い層の「現場の生の声」を毎年聞かせていただいている。今日はこの場をお借りして、なぜ日経NETWORKが毎年こうした調査を行っているか、という話をさせていただきたい。

 私見だが、専門誌が行うこうした調査の目的は大きく3種類に分かれる。まず、新しい技術やサービスなどへの関心や浸透状況といったトレンドを調べるもの。「クラウド利用実態調査」といった名称で、調査会社などがよく手掛けるタイプの調査である。メディアが実施する場合は、「緊急調査」などと銘打って実施し、急速に普及しつつある特定のトレンドの浸透具合を調べて記事で報告するといった使い方が多い。

 次は、ある程度確立された市場で、実力が拮抗する製品やサービスのうち、利用者の支持や人気が高いものはどれかを調査するものだ。こちらは定点観測的に実施し、結果をランキング形式で報告、最終結果に至った理由を考察するタイプの記事に仕立てることが多い。日経コンピュータが毎年実施している「顧客満足度調査」や「クラウドランキング」などが典型例だ。

 日経NETWORKの「ネットワークの実態調査 2013」には、上記の二つのような意図を持った設問も含まれているが、メインの目的は少し異なる。トレンドや製品、サービスだけに流されない「(業務で利用されている)今のネットワークの姿」を編集部として把握するのが狙いだからだ。だから「ネットワークの実態調査」なのである。定点観測を主目的にしているこうした調査は、雑誌では珍しいかもしれない。

 日経NETWORKは現場の技術者に向けた実務的な技術情報を、基礎からきちんと解説することを旨としている。新技術やサービスも取り扱うが、現場で長く使い続けられている定番技術や、誰もが身に付けるべき初歩的な技術知識に関しても、新技術と等価に取り扱うのがモットーだ。こうした誌面作りのために、現場の実情や「生の声」をより深く知る手段の一つとして、年に1回のアンケート調査の結果を貴重な資料として使っているのである。

 一例を挙げよう。日経NETWORKに「当事者が語る!トラブルからの脱出」という人気連載がある。今から約10年前の2002年10月号の連載開始以来、途切れることなく続いており、次号5月号で連載120回の節目を迎える。もちろん日経NETWORKの中で最長の連載で、おかげさまで読者のみなさんからの評価も高い。毎号行っている読者アンケートなどでも必ず複数の読者の方から評価するコメントをいただいている。