もう多くの方が経験していると思うが、コンビニで酒やタバコを買うとき、POSレジの画面に20歳以上かどうかを問う年齢確認のボタンが表示され、それを押すように求められることが多くなった。このボタンを押さないと酒・タバコは買えない。

 この画面はコンビニチェーンによって異なるが、セブン-イレブンでは「未成年者の飲酒・喫煙は法律で禁じられています。年齢確認できる身分証明書をご提示いただく場合がございます。20歳以上ですか?」という問いの下に「はい」というボタンが配置されている。未成年者に対する酒・タバコ販売の取り締まりが厳しくなったことへの対応策として、コンビニチェーンがPOSシステムに組み込んだ「年齢確認」の仕組みだ。昨年12月にセブン-イレブンが導入し、今夏以降、ローソン、サークルKサンクス、ミニストップなどが追随した。

 このシステムを初めて経験したとき、筆者は少なからず戸惑ったのを覚えている。コンビニの店員に促されるままボタンを押したが、店を出てから何かもやもやとした気分になった。趣旨は理解できるし、たいした手間ではないのだが、気になる点が2つあった。

 1つは、「誰が見ても未成年には見えない40代の筆者に、わざわざ年齢確認のボタンを押させる必要があるのか?」という小さな不満。もう1つは「未成年の客でも、ボタンを押せば買えてしまうのか?」という疑問だ。

 それからしばらくしたある日、さらに印象を悪くする出来事があった。別のコンビニでビールテイストのノンアルコール飲料を買ったとき、POSレジの画面で年齢確認を求められたのだ。このとき筆者は「ノンアルコールなのに、どうして年齢確認が必要なのですか?」と思わず店員に聞いてしまった。しかし、店員も理由は分からないようだった。そんな納得のいかない経験をして以来、このシステムの年齢確認ボタンを押すとき、ビミョーな不愉快さを感じるようになった。

年齢確認時のトラブルに苦慮するコンビニ

 なぜ、このようなシステムが導入されたのか。コンビニ側にもいろいろ事情があるようだ。以前から年齢確認をめぐり、「今は身分証を持っていないが、私は成人だ」などと言い張る客が少なくなかった。そういう客と店員の間で、「売れ、売れない」の押し問答になったり、客が声を荒げたりするトラブルが後を絶たず、コンビニ側も対応に苦慮しているのである。こういうトラブルに遭うと、店員は恐れや不愉快さを感じるので、その後の年齢確認作業にも影響を及ぼしかねない。

 その対策の1つなのか、酒・タバコを販売する多くの店で「年齢指差し確認シート」などと呼ばれるものが利用されている。このシートはレジ台の上に貼られていて、シートの上には「20代」「30代以上」と書かれた2つの枠が描かれている。酒・タバコを買う客に自分の年齢がどちらに該当するか指差してもらい、「20代」を選んだ客には身分証の提示を求める、という流れで年齢を確認する。