この連載では、「ダメに見せない説明術」を扱っている。前回は、三つめのダメ説明である「抽象的、具体的でない、表面的」をテーマに取り上げた。10のダメ説明は以下の通りである。
「10のダメ説明」
- 長い、細かい、テンポ悪すぎ
- 論点不明、主旨不明、結論なし
- 抽象的、具体的でない、表面的
- 理由がない、何故?が満載、説明が不足
- 独りよがり、自分視点、自己中心
- 遅い、ぎりぎり、時間なし
- 理解が浅い、内容が陳腐、質問されると沈黙
- 先を読まない、場当たり的、その場しのぎ
- 思想がない、考えがない、自分がない
- 反論する、否定する、対立する
今回も三つめのダメ説明である「抽象的、具体的でない、表面的」をテーマにする。前回は、抽象的、表面的な説明とはどういうものか、何故ダメなのかを説明した。仕事を行うためには、できるだけ具体的に考え、説明しなくてはならないと筆者は考えている。
しかし、それは簡単なものではない。なぜ表面的な説明ではダメなのかを部下や後輩に教え、具体的に考えよう、説明しようとしても、なかなか上手くいかないものだ。それだけ、「具体的に考える」こと、「具体的に説明する」ことは難しいのだと思う。
「具体的な説明」が納得感を引き出す
先日のことである。以前、筆者の部下だった男と久しぶりに仕事をした。男の名前は太田(仮名)と言う。今は内部統制部門で仕事をしており、システム全般統制や、一般内部統制のチェック、問題があった場合の改善アドバイスを行なう立場になっていた。
太田と仕事の話をするのは久しぶりだ。太田からは、筆者の組織が担当する案件のアドバイスもらうつもりだった。話をしていると、太田からはよい仕事をしている雰囲気が伝わってきて、筆者はとても嬉しくなった。
だが、あえて昔の話を紹介することにする。