「女性限定のWeb API講座」。少々楽しそうなイベントを取材する機会があった。主催はリクルートホールディングスで、同社が開催するプログラミングコンテストへの女性の応募者を掘り起こすのが目的だ。Twitterなどを通じて募集した約20人の女性たちが集まった。未経験か入門者レベルの人が多かった。

 イベントは2012年10月15日夜に、東京・銀座にあるリクルートのメディアテクノロジーラボ(MTL)で開催された「#MA8 東京MeetUp Quintechプロデュース はじめてのAPI」というものだ。リクルートが主催するプログラミングコンテスト「Mashup Awards 8(マッシュアップアワード8=MA8、前年開催の関連記事)」の告知を兼ねている。

 MA8は「マッシュアップ」(複数のAPIの組み合わせ)によって開発されたWebアプリケーションを募集するもので、今年で8回目になる。既に応募は締め切っており、466作品が集まったそうだ。来る11月10日に優秀作品のプレゼンテーション大会が行われ、その後各賞が発表される。

IT女子5人組がプロデュース

写真1●女性の応募者の少なさについて説明するリクルートメディアテクノロジーラボの伴野智樹プランナー
写真1●女性の応募者の少なさについて説明するリクルートメディアテクノロジーラボの伴野智樹プランナー
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 10月のイベントは、リクルートと、“IT系女子”5人のユニット「Quintech(クインテック)」が共同で企画したものだ。冒頭で、MA8の事務局を担当するリクルートメディアテクノロジーラボの伴野智樹プランナー(写真1)は現時点で女性の応募者が全体のわずか3%であることを示しつつ、「マッシュアップを使えば、これまでよりも気軽にWebアプリケーションを作れる。もっと多くの女性にマッシュアップの面白さを知ってほしい」と話した。

 続いて、Quintechの一員である「あさみん」こと柳田亜沙美氏(写真2)による「APIってなに?」と題した基礎演習が始まった。柳田氏は、女性向けのIT教育事業を手がけるベンチャー企業、凛の代表取締役でもある。

写真2●入門者向けにWeb APIプログラミングの講義をする凛の柳田亜沙美代表取締役
写真2●入門者向けにWeb APIプログラミングの講義をする凛の柳田亜沙美代表取締役
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 基礎演習の課題は、日本気象協会とアップフロンティアがインターネット経由で提供するWeb API「天気予報API」を使って、Webブラウザー上に任意の日時・場所の天気予報を表示するというものだ。

 マッシュアップの前段階に当たるAPI呼び出しの基礎を学ぶシンプルな課題だが、易しくはない。Web APIの仕様やそれを呼び出すスクリプト言語(JavaScript)、表示するためのHTML、動作を確認するためのデバッガー(演習ではWebブラウザーFirefoxのデバッグ機能を使用)などを一通り理解していないと、結果にたどり着けない。早くも苦戦する参加者が続出していた。一方で、余裕のある参加者の中には、天気予報の並べ方をカスタマイズしたり、パラメーターを変えて別の日の予報を呼び出したりしている人もいた。

写真3●会場の様子。Web APIの種類ごとに7つのグループに分かれて、Webサービスを提供者である先生役が、女性の参加者に扱い方を教える
写真3●会場の様子。Web APIの種類ごとに7つのグループに分かれて、Webサービスを提供者である先生役が、女性の参加者に扱い方を教える
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 続いて、7つのテーブルに分かれてのワークショップが始まった。各テーブルの先生役は、Web APIを外部にサービスとして提供している7社の技術者が務めた。天気予報APIに加えて、リクルートのホットペッパーAPI、楽天トラベルAPI、KDDIウェブコミュニケーションズのboundio(電話機能API、関連記事)、頓智ドット(関連記事)のtab API(スポット情報サービス)、PUXの画像認識API、メタデータの感情解析APIの7つだ。