しばらく前、こんなにたくさんの携帯端末を使い分けることになろうとは、つゆほども思わなかった。机上に並べてみると、メインで使うiPad、毎晩眠りに落ちるまでのおともiPod touch、意に反してどこでもつながるわけではないiPhone、もはや珍しくなくなったキーボード着脱式のEee Pad TF101、電子書籍リーダーのKindleとKindle Touch、それに先ごろ不評を買ったkobo Touchなどがある。

 このうちkobo Touch以外は、オンラインストレージやGmailなどのクラウドサービスを介して同期あるいは連携している。当然、ノートPCやデスクトップPCも、そのメンバーである。もし、クラウドサービスがなかったら、これら端末の運用はとっくに破綻していたに違いない。それほど、マルチデバイス利用の流行は、クラウドサービスの進展と深い関係にあると思う。

マルチデバイス利用を支えるオンラインストレージ

 こうした状況のなか、オンラインストレージ市場は活況を呈している。米Googleがゴールデンウィーク直前に新規参入して以来、米Dropboxや米Microsoftなどの競合会社が次々に対抗策を打ち出しているからだ(表1)。例えば、使い勝手を左右する機能強化、対応クライアントOSの拡充、ストレージ容量の増量、料金設定の変更など、毎月のように、いずれかの会社が何らかの手を打っている。

画面1●iCloudのWeb版(iCloud.com)に、ひっそりと追加された「メモ」と「リマインダー」
画面1●iCloudのWeb版(iCloud.com)に、ひっそりと追加された「メモ」と「リマインダー」
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 最近の機能強化で注目されるのは、AppleがiCloudのWeb版(iCloud.com)に、iPhoneやiPadと同期する「メモ」と「リマインダー」をひっそりと追加したこと(画面1)。これはかなり重宝する。加えて、この「Mail」には「VIP」メールボックスを追加している。これは、あらかじめ指定しておいた重要人物からのメールを振り分けるフォルダである。iOS 6のリリースに合わせて新機能を取り入れた格好だ。

 万一のバックアップという面でも、オンラインストレージは心強い。例えば、端末が故障しても、別の端末に専用クライアントソフトをインストールしてログインするだけで、元のフォルダ状態を簡単に復元できる。なかにはDropboxのようにファイルの変更履歴を自動的に記録し、削除したファイルの復元や任意の時点にファイル内容を戻せるものもある。

表1●主なオンラインストレージの比較(2012年9月19日現在)
表1●主なオンラインストレージの比較(2012年9月19日現在)
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