写真1●日本三大カルストの一つ、四国カルスト
写真1●日本三大カルストの一つ、四国カルスト
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 8月末、実家で法事をするため久しぶりに家族5人で愛媛に帰省した。空いている日に愛媛と高知の県境にある四国カルスト(写真1)に初めて行った。カルストとは石灰岩など水に溶解しやすい大地が侵食されて出来た地形で、四国カルストは標高約1400メートルの高原である。

 四国にしては雄大な眺めで良かったのだが、それよりも帰り道に立ち寄った坂村真民記念館が印象に残った。坂村真民は2006年に97歳で亡くなった詩人で、記念館は真民が暮らした砥部町に今年3月オープンしたばかりだ。名前だけは聞いたことがあったがどんな人物なのか、どんな詩を作ったのかまったく知らなかった。記念館に展示されている詩人本人が大きく墨書した詩は、どれも平明だが人を力づけるものがある。代表作である「念ずれば花開く」という詩は世界700カ所以上に詩碑が建てられているという。

 さて、本論に入ろう。米アップルの「iPad」が日本で発売されて2年余りが経った。もう物珍しさは消えてしまい、似たようなタブレットも山ほど登場した。しかし、いまだにiPadにこだわりがあって、導入しようかどうかと迷っている企業は多い。かくいう筆者もiPadアプリをこの2年間手がけてきて、ほかに眼がいかないほどiPadだけを見ていた。ところが、楽天の電子書籍サービス「kobo」(端末名はkobo Touch)の登場でちょっと見方が変わった。

 今回は「軽さ」と「用途」という観点からタブレットの選択について考えたい。

本1冊の重さを基準に見る

 以前、このコラムに書いたように筆者はiPadの3大用途は「るるぶ」、つまり「見る」「見せる」「運ぶ」だと思っている。カタログやマニュアルを電子化してiPadに入れ、紙や印刷を不要にし、軽く、使いやすく、見栄えを良くするのだ(以前のコラム:iPadを生かすコツは「るるぶ」)。

 自分自身はプレゼンや講演の資料をiPad 2に入れて使っている。パソコンよりも薄くて軽いし、筆者のチームで開発したアプリを使うとスライドの動きも軽やかなのが気持ちいい。601グラムというその重さを、「重い」と感じたことはなかった。

 だが、koboのハデなデビューに驚かされた。iPadの9.7インチに対して6インチとディスプレイは小さいが、わずか185グラムという軽さだ。1インチ当たりの重さはiPad 2の62グラムに対し、31グラムと半分しかない。バッテリーは1カ月持つという。価格も7980円と“超軽量”だ。koboが「電子書籍を読む」という機能に絞り込まれている結果だろう。

 koboのコマーシャルを見て、タブレットの軽重の基準として頭に浮かんだのが本1冊の重さだ。185グラムのkoboは文庫本1冊程度の重さである。画面は文庫の1ページよりも大きく読みやすい。これならば、長時間手に持って読んでも苦にならない。

 書棚の本の重さを計ってみると200ページ程度のハードカバーは300~350グラム程度で、筆者がよくするように寝床に入ってから両手で支えて読むにはこの程度が限界だ。400ページを超える書籍は700グラム以上あり、手に持って読むのはつらい。今年発売された新しいiPadは652グラムあり、長時間手に持って見たり読んだりするには重すぎる。

 ほかのタブレットの重さも調べてみた。米アマゾン・ドットコムの電子書籍リーダー「Kindle」(第4世代)は、6インチで170グラムとさすがに軽い。電子書籍リーダーではない汎用のタブレットだと、7インチで350~400グラム程度。10インチだと600~700グラムとiPadと同様の重さになる。手に持って見る、読むに適するのは7インチのタブレットぐらいまでだろう。つまり、200ページ程度のハードカバーの書籍と同じぐらいの重さということだ。