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東葛人的視点

空前の大規模プロジェクト、その宴の後に来るものは

2012/08/01 日経コンピュータ

 IT業界にとって垂涎の大規模プロジェクトが近くスタートする。一つはみずほフィナンシャルグループによる勘定系システムの全面刷新、もう一つが政府系のマイナンバー(共通番号)のシステム構築だ。両システムとも2015年度に完成予定で、投資額はそれぞれ4000億円に膨らむとも言われる。クラウドへの移行期に“旧型の”超大型案件が登場するわけだが、ちょっと嫌な予感がする。

 こうした超大型案件は、受託ソフト開発というIT業界の“旧勢力”にはまさに干天の慈雨。プライムコントラクターのSIerはもちろん、一次請け、二次請けなど業界のピラミッド構造の隅々にまで恩恵が及ぶ。みずほの案件だけで、最盛期には8000人の技術者が動員される見通しという。これだけの人員がバキュームされるとなると、人月商売である受託開発の需給はかなり引き締まる。かくして恩恵は業界に広く行き渡る。

 さて冒頭に書いた「ちょっと嫌な予感」だが、プロジェクト失敗のことではない。もちろん、みずほは二度の大きなトラブルに見舞われているし、政府系システムは完成できない問題プロジェクトのオンパレードだから、プロジェクトの失敗リスクは決して小さくはない。ただ嫌な予感はそのことではない。IT業界、もう少し細かく言えばITサービス業界の構造転換に悪い影響を及ぼすというのが、私の悪い予感だ。

 クラウドの普及やシステム開発案件の海外流出で、国内のSIerや受託ソフト開発会社などのITサービス会社のビジネスが岐路に立っていることは、これまでに言い尽くされたことだ。実際、大手SIerはクラウドビジネスを強化し、グローバル展開を急いでいる。SI+受託ソフト開発という従来のビジネスモデルは賞味期限切れで、どんどんシュリンクしていくのは避けられない。

 だから、ITサービス会社は一刻も早く新規ビジネスを立ち上げなくてはいけない。グローバル化も推進しなければいけない。しかし、言うは易く行うは難しで、クラウドビジネスは赤字続きで、アジア市場開拓も遅々として進まない。一方、旧来のSIや受託ソフト開発は今でもそれなりのボリュームがあるし、利益率は低いが全く儲からないというわけではない。「やはり人月商売の方が楽だ」と思う経営者は多い。

 そこに巨大プロジェクトが舞い降りる。人月商売の需給が少しでも引き締まれば、プロジェクトに関わるかどうかは別にして、とりあえず皆が食える。そうすると、ビジネスモデル変革や新規ビジネス育成の機運は薄れてしまう。そんな中でプロジェクトが終了し、大量の技術者がリリースされたら・・・。

 これまでも大規模プロジェクトが終了したときに、一時的に需給バランスが崩れたことがあった。ただ、今回は従来とは違う。2015年にはおそらく、企業などの情報システムのSI案件、受託ソフト開発案件はかなりジリ貧状態になっているだろう。改革を怠ったツケは、確実にITサービス会社や技術者に回ってくる。久しぶりのビッグイベントに浮かれていないで、ITサービス会社も技術者も次の道を探したほうがよいと思う。

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